内視鏡センター
内視鏡センターの概要
上部消化管(食道・胃・十二指腸)、下部消化管(大腸)、胆道・膵臓、小腸といった臓器を対象として、最新の設備・機器を用いた高度な内視鏡診療や救急疾患に対する緊急内視鏡処置などを含めた幅広い診療を日々行っています。 当院は日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設であり、2022年度からは前岡山大学消化器内科学講座教授である岡田裕之病院長を迎え、さらに、ベテラン、中堅、シニアレジデントがバランス良く配置され、消化器内視鏡診療を志す若い医師の教育にも力をいれています。
内視鏡センターでは、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査のFAX紹介を承っております。患者さんには初診日当日に内視鏡検査を速やかに受けていただけます。地域医療連携室までご相談ください。
吐血・下血などの救急患者に対しては消化器内科医・院内スタッフが総力を挙げて迅速に対応できる体制を整えております。消化管出血患者に対して休日・夜間を問わずいつでも受け入れ可能ですので病院代表(TEL:079-294-2251)までお問い合わせください。
(※患者さんからの直接のお電話、FAX申し込みはできません。近医を受診し当院への紹介を依頼してください。)
FAX紹介様式 診療情報提供書
内視鏡センターのメンバー
対象疾患
消化管(食道・胃・十二指腸・大腸)病変に対する内視鏡診断
- 消化管領域の診断には内視鏡が主な役割を果たします。
- 検診目的や有症状時などの通常内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)は毎日行っています。
画像強調内視鏡(Narrow band imaging :NBI) (例:表在型食道がん)
早期の食道癌は通常観察では指摘が難しいのですが、ボタンひとつでNBI画像に切り替えると病変が分かりやすくなり、早期発見がしやすくなります。さらに拡大して血管の形を観察することで、病変の深さなどが診断できます。
消化管(食道・胃・十二指腸・大腸)腫瘍に対する内視鏡治療
サイズが大きい食道・胃・大腸の腫瘍に対しては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行います。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
食道癌・胃癌・大腸癌のうち、癌が表面(粘膜から粘膜下層の浅層)にとどまっていてリンパ節転移の可能性が低い場合には、内視鏡で治療できます。各種検査により内視鏡治療ができると判断された場合には、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行います。この方法ではサイズが大きくても一括で切除することができます。
当院では 年間 163件(上部消化管:123件、大腸:40件)(令和3年)のESDを行っています。
(早期胃癌に対するESD)
胆管・膵臓病変に対する内視鏡診断
超音波内視鏡下穿刺法(EUS-FNA)
超音波で確認しながら消化管に隣接する臓器(膵・リンパ節)・消化管粘膜下腫瘍に針を刺して細胞を採取します。
当院では年間127件(令和元年)のEUS-FNA関連処置を行っています。
(例:膵癌の組織を採取)
内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP)
専用の内視鏡を用いて、十二指腸乳頭(十二指腸への胆管・膵管の出口)から細いチューブを胆管や膵管に挿入して造影を行う検査です。
この方法を用いて、胆道・膵疾患に対するさまざまな診断・治療を行うことができます。
当院では年間454件(令和3年)のERCPを行っています。
総胆管結石に対するERCP下採石
総胆管結石と胆管炎
胆のう内で作られた胆のう結石が総胆管に移動して胆汁の流れが悪くなると、肝障害を来すことや、胆管内に細菌が繁殖して胆管炎を引き起こすことがあります。
胆管炎を放置すると、細菌が全身に広がって致命的になることがあります。
内視鏡治療
胆管結石症では、内視鏡を用いた治療が進歩し、主流になってきています。
内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)
:胆管と膵管の出口(十二指腸乳頭)をナイフで切開して広げます。
十二指腸乳頭より処置具(バスケットやバルーン)を挿入して、結石を排出させます。
当院では、年間 126件(令和3年)の内視鏡的結石除去を行っています
上記の方法では除去できない総胆管結石・肝内結石・膵石に対しては、胆管鏡を用いて胆管のなかに内視鏡を入れて観察し、結石を破砕して除去する処置(電気水圧衝撃波結石破砕術(Electro-hydrauliclithotripsy;EHL))を行っています。
緩和ケアチーム介入の流れ
当センターでは、上記以外にもさまざまな疾患に対する内視鏡診療を行っています。
(赤字のところをクリックすると詳細な説明が表示されます。)
食道疾患
食道癌
画像強調内視鏡(NBI)、拡大内視鏡などによる診断
食道表在癌に対する内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD))
食道狭窄に対するステント留置術
食道静脈瘤
内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS), 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)
食道粘膜下腫瘍
超音波内視鏡(EUS)や超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)による診断
胃・十二指腸疾患
胃癌
画像強調内視鏡(NBIなど)、拡大内視鏡による診断
早期胃癌に対する内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD))
胃粘膜下腫瘍
超音波内視鏡(EUS)や超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)による診断
消化管間葉系腫瘍(GIST)に対する腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)
十二指腸腫瘍
十二指腸腺腫・早期十二指腸癌に対する内視鏡治療(under water EMR)
十二指腸狭窄に対するステント留置術
胃・十二指腸潰瘍
内視鏡による診断
出血性潰瘍に対する内視鏡的止血術
胃粘膜下腫瘍
超音波内視鏡(EUS)や超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)による診断
経鼻内視鏡検査
内視鏡的胃瘻増設術 (PEG)
小腸疾患
腸閉塞
イレウス管留置
小腸出血
カプセル内視鏡による診断、ダブルバルーン内視鏡による診断、止血術
小腸ポリープ
バルーン内視鏡による内視鏡的粘膜切除術
炎症性腸疾患(クローン病)・小腸狭窄
小腸造影検査による診断、ダブルバルーン内視鏡によるバルーン拡張術
大腸疾患
大腸ポリープ
画像強調内視鏡(NBIなど)、拡大内視鏡による診断
内視鏡的粘膜切除術(EMR)、コールドスネアポリペクトミー
大腸癌
画像強調内視鏡(NBIなど)、拡大内視鏡による診断
早期大腸癌や大腸神経内分泌腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD))
大腸狭窄に対する下部イレウス管挿入術・ステント留置術
炎症性腸疾患
クローン病、潰瘍性大腸の診断
内視鏡によるバルーン拡張術
下部消化管出血
大腸憩室出血などに対する内視鏡的止血術 (内視鏡的バンド結紮術 EBL)
胆・膵疾患
- 膵癌・膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
胆管癌
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)による診断
総胆管狭窄に対する内視鏡的胆管ステント留置
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胆石・総胆管結石
総胆管結石に対する内視鏡的結石除去術
内視鏡的経口胆道鏡(Spyglass)を用いた結石破砕術・結石除去術
胃手術症例に対するバルーン内視鏡を用いたERCP関連処置
- 胆管炎
内視鏡的胆管ドレナージ術
慢性膵炎
膵管ステント留置術
自己免疫性膵炎
スタッフ紹介
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髙谷 昌宏/ たかたに まさひろ
S63年卒
役職 第一消化器科部長
- (兼)内視鏡センター長
専門分野 消化器(消化管)(胆膵)
資格 - 日本内科学会総合内科専門医・認定内科医・内科指導医
- 日本消化器病学会認定消化器病専門医・指導医
- 日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・指導医
- 日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医・指導医
- 岡山大学医学部医学科臨床准教授