麻酔科
診療科の概要
麻酔科では、術前診察を入退院センターと協力して行い、手術関連合併症を最小限にして安全かつ快適に過ごせるよう努めています。未熟児から合併症のある高齢者まで様々なリスクを最小限にする質の高い麻酔を心がけています。集中治療では、西播磨地域の重症例を担うという自負のもと、心疾患治療後、敗血症、脳卒中、ハイリスク手術後から小児まで多岐にわたる症例の救命をめざします。急性期の血液浄化療法(血漿交換、持続血液透析など)も可能で、速やかな回復に努めています。
ペインクリニックでは、痛みの専門医の視点から慢性痛を中心に頭から足先まであらゆる痛みの診断と治療を行っています。診断では、丁寧な問診と理学的所見を取得して必要に応じて画像診断まで行います。治療では、神経ブロックを中心とした低侵襲治療が得意です。薬物療法やリハビリテーション療法も併用して生活の質の向上を目指します。
対象疾患
腰痛・下肢痛
(腰部脊椎管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎圧迫骨折、その他)
首・肩・上肢の痛み
(頚椎症性神経根症、頚髄症、頚肩腕症候群(強い肩こり)、五十肩、その他)
硬膜外ブロック(持続法、一回法)、星状神経節ブロック、神経根ブロック、椎間関節ブロック、ファセットリゾトミー、大腰筋筋溝ブロック、腕神経叢ブロック、トリガーポイント注射など、各種神経ブロックを症状の経過を見ながら、組み合わせて行ってゆきます。また、ブロックだけでなく種々の内服薬による治療も必要に応じて行ってゆきます。当院整形外科医師とも連携をとって、さらに詳しい検査や外科的治療が必要な場合などは協力して検査、治療を行っています。
癌性疼痛
原疾患の治療を行う各科の主治医、ホスピスケア認定看護師、薬剤師らと連携をし、癌性疼痛のみでなく、全般的な緩和治療は当科が主体となって積極的に行っていますので、ご相談ください。癌に関連する症状でもっとも多いのは、やはり痛みですが、当科では各種鎮痛薬(麻薬、消炎鎮痛薬、鎮痛補助薬など)の投与を主体に、癌性疼痛に有効な神経ブロック治療(内臓神経ブロック、神経根高周波熱凝固、くも膜下フェノールブロックなど)を行って、少しでも患者さんのQOL(Quolity of life)が向上するように、きめ細かな治療を行っています。
ニューロパシックペイン
(帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、カウザルキー、反射性交感神経性萎縮症、その他) 治療法が確立しておらず、患者さん個々の症状にあわせた治療を行ってゆきます。各種神経ブロックが有効と考えられる場合はブロック治療を、そうでない場合は、鎮痛補助薬といわれる一般的には鎮痛薬として使用されないような治療薬を組み合わせた薬物治療を行います。難治性の強い痛みには脊髄電気刺激治療なども行っています。
患者さんへ
麻酔科の業務は手術を安全かつ安楽に受けるための「麻酔」、人工呼吸や循環補助を要する重症患者のための「集中治療」、痛みの診療を行う「ペインクリニック」に分かれています。
麻酔
手術が円滑かつ快適・安全に行われるように全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔などの麻酔を選択して行います。麻酔や手術を成功させるためには、まず手術前の適切な評価と管理が重要です。麻酔科外来で診察を行い、全身のリスク評価を行った後に麻酔方法を考慮します。その後、患者さんおよび御家族の方へ麻酔についての充分な説明を行い、よくご理解いただいて麻酔に対する不安を取り除くように努力しています。手術中に麻酔科医は手術や麻酔によって生ずる呼吸や循環の変化を最小にとどめるように手術開始から終了まで絶え間ない全身管理を行っています。手術後は回復室あるいは集中治療室へ全身状態が落ち着くまでしばらく入室していいただきます。術後の痛みのコントロールも行っています。 小児の手術では、お子様が眠られるまでご両親が一緒に手術室に入室することができます。
集中治療室
集中治療室は手術室に隣接して、10床のベッドを有しています。41名の看護スタッフとともに、24時間体制で麻酔科医が各診療科と連携を取りながら、腎不全、肝不全、呼吸不全などの重症な患者さんや大手術後の患者さんの全身管理を行っています。また心筋梗塞などの心臓疾患の患者さんも集中治療室で循環器科医が治療にあたっています。
ペインクリニック
ペインクリニックではいろいろな種類の痛みに対して、神経ブロック治療を中心に内服、点滴治療などを組み合わせて痛みを軽くするあるいは取り除く治療を行っています。原因が良くわからない痛みに対しても、痛みに対する治療を行いながら、各専門家と連携して原因の特定や治療も行いますので遠慮なくご相談ください。
スタッフ紹介
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山岡 正和/ やまおか まさかず
H14年卒
役職 麻酔科部長
- (兼)集中治療部長
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
資格 - 日本専門医機構認定麻酔科専門医
- 日本麻酔科学会麻酔科指導医・認定医
- 日本集中治療医学会集中治療専門医
- JB-POT(日本周術期経食道心エコー)認定試験 合格
- 日本心臓血管麻酔学会心臓血管麻酔専門医
- 麻酔科標榜医
-
岡部 大輔/ おかべ だいすけ
H17年卒
役職 ペインクリニック部長
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
- ペインクリニック
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医・認定医
- 麻酔科標榜医
-
小橋 真司/ こばし しんじ
H18年卒
役職 ペインクリニック副部長
専門分野 - 麻酔
- ペインクリニック
- 緩和ケア
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医・認定医
- 麻酔科標榜医
-
南 絵里子/ みなみ えりこ
H23年卒
役職 麻酔科副部長
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
- ペインクリニック
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医・認定医
- 日本集中治療医学会集中治療専門医
- 日本呼吸療法医学会呼吸療法専門医
- 日本小児麻酔学会小児麻酔認定医
- 日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医
- 日本心臓血管麻酔学会心臓血管麻酔専門医
- JB-POT(日本周術期経食道心エコー)認定試験 合格
- 日本区域麻酔検定試験(J-RACE)合格
- 日本母体救命システム普及協議会 JMELSベーシックコースインストラクター
- 麻酔科標榜医
-
西村 健吾/ にしむら けんご
H11年卒
役職 集中治療副部長
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医
- 日本集中治療医学会集中治療専門医
- 日本呼吸療法医学会呼吸療法専門医
- JB-POT(日本周術期経食道心エコー)認定試験 合格
- 精神保健指定医
- 麻酔科標榜医
-
本庄 郁子/ ほんじょう いくこ
H18年卒
役職 麻酔科医長
専門分野 - 麻酔
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医・認定医
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山下 千明/ やました ちあき
H23年卒
役職 麻酔科医長
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・認定医
- 日本小児麻酔学会小児麻酔認定医
- 日本母体救命システム普及協議会 J-CIMELSインストラクター
- 麻酔科標榜医
-
門馬 和枝/ もんま かずえ
H11年卒
役職 医師
専門分野 - 麻酔
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医・認定医
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妹尾 悠祐/ せのお ゆうすけ
H24年卒
役職 医師
専門分野 - 麻酔
- ペインクリニック
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・認定医
-
岡﨑 結里子/ おかざき ゆりこ
H26年卒
役職 医師
専門分野 - 麻酔
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・認定医
- 麻酔科標榜医
-
山本 祐未/ やまもと ゆうみ
H29年卒
役職 医師
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科認定医
- 日本小児麻酔学会小児麻酔認定医
- 麻酔科標榜医
-
山本 綾子/ やまもと りょうこ
H30年卒
役職 専攻医
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科認定医
- 麻酔科標榜医
-
丸山 真実/ まるやま まみ
H31年卒
役職 専攻医
専門分野 - 麻酔科
資格 - 麻酔科標榜医
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倉迫 敏明/ くらさこ としあき
S58年卒
役職 医師
専門分野 - 麻酔
- 集中治療
資格 - 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医
- 日本集中治療医学会集中治療専門医
- 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
- 日本血液浄化学会認定指導者
- インフェクションコントロールドクター
- 麻酔科標榜医
-
菊池 茉優/ きくち まゆ
R3年卒
役職 専攻医
専門分野 - 麻酔
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新居 菜月/ あらい なつき
役職 専攻医
-
友實 桃子/ ともざね ももこ
R2年卒
役職 専攻医
専門分野 麻酔
資格 - 麻酔科標榜医
連携病院・開業医の先生方へ
姫路赤十字病院ではチーム医療を推進しており、麻酔科でも麻酔の術前管理はもとより、集中治療やペインクリニックにおいても他診療科やコメディカルと密に連携しています。ペインクリニックでは初診の約半分が運動器疾患であり、特に整形外科とは手術適応とそのタイミングに関して遅滞なく連携しています。手術適応の小さい症例は麻酔科で保存的治療を行うことも少なくありません。神経ブロック治療やインターベンショナル治療などを用いて低侵襲で効果的な医療を提供させていただくよう努めます。ご紹介いただく際には地域連携室を通した電話/FAX予約をお願いいたします。
麻酔
手術症例数は年々増加しています。又、高齢者、合併症を持った患者の比率が増加しています。術前は麻酔科外来で麻酔専門医による術前診察が行われ、そこで全身状態の把握をし、患者さんに麻酔の説明をし、患者さんの希望を聞いたうえで麻酔方法を選択し、同意を得ています。回復室は手術室の中に、集中治療室は手術室の横に位置して麻酔科で管理しています。術後の疼痛管理も硬膜外、静注PCA等幅広く行っています。
集中治療室
総面積は514.6平方メートルと余裕ある広さを誇り、人工呼吸管理を始め、持続血液浄化、血漿交換、ECMOなど高度の集中治療を行って重症患者の救命に日夜努力しています。ここ数年の年間総入室者数は平均800名前後で、その約半数が手術後の入室ですが、その他外科、内科、小児科を問わず各種疾患の急性増悪の患者さんが多数治療を受けています。 主に院内の重症患者さん、予定大手術後の患者さんの全身管理を行っていますが、他院からの重症患者さん(敗血症・冠動脈疾患・蘇生後脳障害・重症急性膵炎など)にも積極的に対応し、地域医療に貢献しています。
ペインクリニック
中央診療部門である麻酔科の特色を生かし、他科とも密接な連携を取りながら、痛みの治療を行っています。当院では2014年9月から緩和ケア内科が併設されたため、がん性の痛みに関してはがん患者に対する全人的苦痛への対応は緩和ケア内科で行い、ペインクリニックでは慢性の痛みに対する治療を行うよう分担しています。がん患者の神経ブロックなどのインターベンショナル治療には、緩和ケア内科とペインクリニックが協力して行っています。
また腰下肢痛、頚上肢痛をはじめとする運動器の痛みついて整形外科と十分連携し、検査、神経ブロック治療、手術治療など一連の診療を分担して行っています。特徴ある治療は神経ブロック治療とインターベンショナル治療です。神経ブロックは、以前は経験に頼るものでしたが近年X線透視や超音波診断装置を用いた安全かつ確実な治療に発展しました。インターベンショナル治療では、先進的な低侵襲治療を導入して痛みに関する高度な医療をやさしく提供します。
【当科(ペインクリニック)で行う治療法】
- 高周波熱凝固治療:頸椎・腰椎椎間関節、肩・股・膝関節の痛みに対する治療です。三叉神経痛や肋間神経痛などにも用います。
- 椎間板ヘルニアに対する治療:ヘルニアの性質や大きさや症状から適切な方法を選択します。
-椎間板内酵素注入療法:椎間板に髄核を縮小させる酵素を注入します。
-経皮的椎間板髄核摘出術:直径1〜3mmのデバイスを使用してX線透視下に椎間板を摘出します。
-内視鏡下椎間板切除術:直径8mm程度の内視鏡を挿入してX線透視および直視下に椎間板を切除します。
- Racz硬膜外癒着剥離術:金属製のカテーテルを用いて、癒着を原因とする痛みを軽減します。
- 硬膜外自家血注入治療:脳脊髄液漏出症の漏出を停止させる治療です。
- 脊髄刺激電極治療:難治性の神経障害性の痛みに対して痛みを緩和する装置を体内に挿入します。
診療実績
手術・検査・処置等名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
麻酔科管理麻酔 | 4,172 | 4,454 | 4,294 |
全身麻酔 | 3,816 | 4,038 | 3,989 |
脊髄くも膜下麻酔など | 356 | 416 | 305 |
無痛分娩件数 | 41 | 55 | 45 |
集中治療室入室患者数 | 761 | 777 | 820 |
人工呼吸患者数 | 269 | 248 | 256 |
急性血液浄化施行数 | 38 | 40 | 32 |
病棟中心静脈ライン挿入患者 | 533 | 631 | 688 |
ペインクリニック初診患者数 | 421 | 441 | 426 |
硬膜外ブロックおよびエコーガイド下 | 2,309 | 3,073 | 2,838 |
X線透視下ブロック | 339 | 445 | 533 |
硬膜外自家血注入 | 28 | 37 | 26 |
椎間板内酵素注入療法 | 4 | 8 | 4 |
経皮的椎間板髄核摘出術 | 9 | 15 | 11 |
内視鏡下椎間板切除術 | 16 | 15 | 10 |
Racz硬膜外癒着剥離術 | 3 | 0 | 2 |
硬膜外脊髄刺激電極トライアル | 0 | 2 | 1 |
硬膜外脊髄刺激電極埋め込み | 0 | 1 | 1 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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1診 術前診察 |
交代制 (14時迄) |
交代制 (14時迄) |
交代制 (14時半迄) |
交代制 (14時迄) |
交代制 (14時迄) |
2診 疼痛外来 |
岡部 | 妹尾 | 小橋 (12時半迄) |
岡部 | 小橋 (12時半迄) |
麻酔科 特殊外来
専門 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 担当 |
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透視下神経ブロック | ○ 午後 |
○ 午後 |
○ 午後 |
交代制 |
- 受付時間は午前8時30分~午前11時00分です
- 外来休診日:土曜日・日曜日・祝日と創立記念日(5月1日)、及び12月29日から1月3日迄の年末年始
- (お願い)ご紹介いただく際には、所定の様式による紹介状を添えていただきますよう、よろしくお願い致します。