整形外科
診療科の概要
高齢者の増加、がん患者の増加に伴い、整形外科医に求められることがますます多種多様化しています。
地域がん診療連携拠点病院として当院の整形外科が求められる診療は特殊で多岐にわたります。近年がん治療が進歩し、生命予後が改善するとともに転移性骨腫瘍に罹患される患者が急増しています。特に主診療科のがん治療方針に大きく関与するPerformance status(PS)が著しく低下する転移性骨腫瘍(脊椎転移、骨盤、大腿骨転移など)の診療が非常に重要だと考えています。今後は整形外科一丸となり転移性骨腫瘍に取り組んでいきます。
また、80歳以上の方でも脊椎変性疾患(腰部脊柱管狭窄症等)や、関節変性疾患(変形性股関節症、変形性膝関節症等)が原因で生活の質が著しく低下してきた場合は、少しでも生活の質が上がるよう積極的に手術加療をおこなっていきたいと考えています。
対象疾患
脊椎
腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア(頸椎、腰椎)、頚椎症性脊髄症、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、脊椎圧迫骨折などの疾患を中心とし、変性後側弯症や圧迫骨折後の後彎変形などの脊柱変形や首下がり症も適応があれば手術治療を行っています。転移性脊椎腫瘍については症例数が増えており、手術や放射線治療、骨修飾薬を含め治療を行っています。腰部脊柱管狭窄症や脊柱変形の治療に対する腰椎低侵襲手術として側方進入椎体間固定術や内視鏡的ヘルニア切除術があり、当院でも適応があれば積極的に施行しています。
最新型移動式CT(O-arm)イメージングシステムの導入
近年の脊椎手術は安全性を高めるため手術用ナビゲーションシステム(以後、手術ナビ)の使用が必須となっています。手術用ナビも車のナビと同様に脊椎インプラントの至適な位置を示して安全に手術をすすめるというものです。当院では10年前から導入し、現在では2台を有しています。
そこに今年、9月から、最新型移動式CT(O-arm)を導入し、2Dおよび3D移動型術中イメージングシステムを開始します。先程の手術ナビとリンクさせ、安全性の向上を超えて、患者さんの身体への負担を大幅に減らすこと(低侵襲化といいます)が可能となりました。大きく創を作ったり、筋肉を剥がすことなく、インプラントの設置ができるようになります。手術時間も短くなり、X線被ばくも最小化にできます。また、手術時だけでなく、術後の痛み、退院後の腰の違和感などの軽減につながります。脊椎手術は、他の整形外科の手術よりリスクが高く、大きい手術の印象がありますが、そのイメージを払拭できればと期待しております。
また、当院で働く医療者にとっても優しさをもたらします。手術時の医療者への被爆の低減、勤務時間の短縮から、当院の目指す“働きたい病院”にマッチするので、この点でも期待できると思います。
股関節
変形性股関節症や大腿骨頭壊死症に対し人工股関節全置換術を施行しています。手術の工夫により術後の股関節脱臼の頻度は非常に少なくなっています(約0.3%)。術後約2週で適切なリハビリテーション専門病院に転院していただき、継続して専門的なリハビリテーションをしていただけます。術前から地域連携室を通じ転院調整を行っているので、患者さんやご家族の都合等も考慮したリハビリ病院をご提案させていただくことが可能となっています。また転移性大腿骨腫瘍や大腿骨頸部骨折、大腿骨転子間骨折についても可能な限り手術を行っています。
膝関節
高齢者の変形性膝関節症、大腿骨内顆骨壊死に対する手術を年間80症例以上行っています。人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)が主流ですが、最近では若年者の変形性膝関節症に対しては高位脛骨骨切り術(HTO:High tibial Osteotomy)、や人工膝関節単顆置換術(UKA: Unicompartmental Knee Arthroplasty)も適応があれば施行しています。股関節の手術と同様に手術後約2週でリハビリ専門病院に転院の上、継続してリハビリテーションを行っていただけるよう地域連携室を通じ調整させていただきます。
転移性骨腫瘍
主診療科のがん治療方針に大きく関与するPerformance status(PS)が著しく低下する転移性骨腫瘍(脊椎転移、骨盤、大腿骨転移など)の診療が非常に重要だと考えており、放射線治療や手術加療、骨修飾薬を組み合わせた治療を積極的におこなっています。
小児整形
整形外科医による乳児検診(1、3か月)を行っており、先天性股関節脱臼や内反膝(ブラント病)の治療(装具治療)を行っています。手術治療が必要になれば専門の子供病院をご紹介させていただきます。
原発性骨軟部腫瘍、関節リウマチ、骨粗しょう症
専門医が不在になったため適切な専門病院をご紹介させていただきます。
患者さんへ
整形外科の入院は手術治療が中心となっています。患者さんには病状、治療法を十分説明したうえで最も納得のいく治療法を選択していただきます。手術後は地域連携室を通じ、適切なリハビリテーション専門病院をご提案します。当院から直接リハビリテーション病院に転院し、可能な限り機能が回復するようリハビリテーションを受けていただけます。
手術以外の保存療法を選択された場合には、お近くの整形外科やかかりつけ医で引き続き御加療いただけるようご紹介させていただきます。
スタッフ紹介
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阪上 彰彦/ さかがみ あきひこ
H3年卒
役職 第一整形外科部長
専門分野 - 股関節
- 膝関節
資格 - 日本整形外科学会整形外科専門医
- 日本DMAT隊員
- 兵庫県災害医療コーディネーター
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松岡 孝志/ まつおか たかし
H3年卒
役職 第二整形外科部長
専門分野 脊椎疾患全般
資格 - 日本整形外科学会整形外科指導医・専門医
- 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医・専門医
- 日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
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川島 邦彦/ かわしま くにひこ
H13年卒
役職 関節外科部長
専門分野 膝関節
資格 - 日本整形外科学会整形外科専門医
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池上 大督/ いけがみ だいすけ
H14年卒
役職 医療社会事業部長
- (兼)第一整形外科副部長事務取扱
専門分野 脊椎外科
資格 - 日本整形外科学会整形外科専門医
- 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医・専門医
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村田 洋一/ むらた よういち
H16年卒
役職 第一整形外科副部長
専門分野 - 脊椎・脊髄疾患の治療
- 整形外科一般
資格 - 日本整形外科学会整形外科専門医
- 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
- 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医・専門医
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濱本 秀一/ はまもと しゅういち
H22年卒
役職 第一整形外科副部長
専門分野 - 脊椎・脊髄疾患の治療
- 整形外科一般
資格 - 日本整形外科学会専門医
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髙橋 惇司/ たかはし あつし
H25年卒
役職 医師
専門分野 整形外科一般
連携病院・開業医の先生方へ
従来通り脊椎変性疾患、関節変性疾患(股関節、膝関節)については積極的に手術加療をおこないます。また今後は脊椎や股関節、膝関節、足関節などの外傷についても可能な限り対応していきたいと考えています。
転移性骨腫瘍についてはできるだけPSを落とさないよう放射線治療や手術加療、骨修飾薬を組み合わせた治療をおこなってまいります。 この度、腫瘍専門医、リウマチ専門医が不在になったため原発性骨腫瘍や原発性軟部腫瘍、リウマチ性疾患につきましては専門医療機関をご紹介させていただくことになります。ご理解の上ご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
診療実績
【当科における治療(手術・検査・処置)の診療実績 】
症例名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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脊椎 | 固定術、椎弓形成術、後方除圧術、椎間板摘出術、その他 | 313 | 284 | 349 |
股関節 | 人工股関節置換術、再置換術 | 85 | 110 | 116 |
膝関節 | 人工膝関節置換術、再置換術、関節鏡、その他 | 85 | 99 | 105 |
外傷、骨折、手の外科手術、足の外科手術、その他 | 98 | 91 | 57 | |
腫瘍 | (骨転移含む) | 33 | 32 | 17 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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1診 (初診) |
松岡(2・4週) (脊椎) |
川島 (膝関節) |
本城(2・4週) |
阪上 (股関節) |
村田 (脊椎) |
濱本(1・3・5週) (脊椎) |
秦(1・3・5週) | ||||
2診 (再診) |
村田 (脊椎) |
阪上 (股関節) |
村田 (脊椎) |
川島 (膝関節) |
田中 (脊椎) ※紹介 |
3診 (再診) |
細澤(1.3.5週) 濱本(2・4週) |
松岡 (脊椎) |
池上 (脊椎) |
髙橋/河本 | 松岡 (脊椎) ※紹介 |
4診 | 阪上 | 池上 (脊椎) |
阪上 | 交代制 | 濱本 (脊椎) |
整形外科 特殊外来
専門 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 担当 |
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乳児検診 | ○ 午後 |
交代制 | ||||
関節クリニック | ○ | 阪上・川島 | ||||
脊椎クリニック (一般) |
○ | ○ | ○ | ○ | (火・金)松岡 (金)田中 (月・金)村田・濱本 (火・水)池上 |
- 受付時間は午前8時30分~午前11時00分です
- 外来休診日:土曜日・日曜日・祝日と創立記念日(5月1日)、及び12月29日から1月3日迄の年末年始
- (お願い)ご紹介いただく際には、所定の様式による紹介状を添えていただきますよう、よろしくお願い致します。