呼吸器センター
呼吸器センターの紹介
当院では進化し複雑化する肺癌診療を中心に2018年から呼吸器内科・外科の枠組みを超えた“呼吸器センター”として呼吸器診療を行ってきました。2022年のトピックスとして、病院全体の臓器別センター化への取り組みの一環として外来診療ブースと入院病棟が呼吸器センターでの共有が開始されたことが挙げられます。これにより診療の連携がさらに迅速で密になり、肺がんをはじめとする地域の皆様の呼吸器疾患の治療により貢献できるものと確信しています。
各科で連携した肺がん治療
肺がんの診断から治療には呼吸器内科・外科以外にも放射線診断科・治療科、病理診断科との連携が必要です。
“人生100年時代”の肺がん治療
“人生100年時代”を迎え、肺がん治療を受けられる患者さんも80歳以上のご高齢の方が珍しくなく、90歳代で当院で手術を受けられる方もおられます。がん患者さんの高齢化に伴い、心臓や脳の持病や糖尿病をお持ちの方も多数おられます。当院は総合病院として多様な持病をお持ちの肺がん患者さんの治療ができる病院でなければならないと考えております。
しかし、今日の肺がん診療では、最初の治療だけで完治する患者さんばかりではなく、同じ患者さんの治療経過中に、3つの治療法を組み合わせたり、繰り返したりする場合も多いです。このように治療経過もセンターで総合的に連携していくことになります。
肺がんについて
肺がんの病理診断
がんの治療方針の決定には、がんの顕微鏡的診断である“病理診断”が必要です。レントゲンやCT検査で肺がんが疑われても、肺がんは胃や大腸のように内視鏡で直接見える所に出来ることは少なく、病理診断の材料(検体)を採取する“生検”が難しい疾患です。生検には以下ような方法があります。
- 気管支鏡
- 胸腔(きょうくう)鏡(きょう)(局所麻酔、全身麻酔)
- CTガイド下生検
これらの検査は準備から実施まで各科が協力して行うため、症例に応じた適切な検査が迅速に行えるようにセンターで手配します。生検から病理診断の確定には1週間程度かかります。診断確定次第、外来での結果説明から治療開始への流れもセンターの連携が必要です。
肺がん治療の実際
病理診断とPET-CT検査や脳のMRI検査で病気の全身の広がりを調べ、肺がんのステージが決まります。ステージによって最初の治療法も決まってきます。肺がんのステージには細かいルールがあり、周期的に見直しがありますが、おおむね以下のようになります。
I期:がんが小さくて転移がない。
Ⅱ期:がんは小さいが、近くのリンパ節だけに転移がある。
Ⅲ期:がんが大きいか、大きさに関係なく離れたリンパ節に転移がある。
Ⅳ期:がんの大きさに関係なく他の臓器に転移がある。
肺がん治療は以下の3つの治療法の組み合わせとなります。
- 薬物療法
- 手術
- 放射線治療
早期の肺がん以外は“局所療法”である手術や放射線治療と“全身療法”である薬物療法を組み合わせることが多いです。
2021年に当院でPET-CT検査が行えるようになり、また放射線治療科による肺がんに対する定位放射線治療も運用が開始されました。これにより肺がんに対する診断から標準的治療を当院で完遂できるようになりました。
スタッフ紹介
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田尾 裕之/ たお ひろゆき
H9年卒
役職 呼吸器外科部長
- (兼)呼吸器センター長
専門分野 - 呼吸器外科
- 胸腔鏡手術
資格 - 日本外科学会外科認定医・専門医・指導医
- 呼吸器外科専門医(呼吸器外科専門医合同委員会)
- 日本呼吸器外科学会評議員
- 日本呼吸器外科学会認定ロボット支援手術プロクター
- 日本呼吸器外科学会胸腔鏡安全技術認定医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医(呼吸器外科)
- 日本ロボット外科学会専門医(国内A級)
- 肺がんCT検診認定医師
- 臨床研修指導医
- da Vinci console surgeon 認定
- 岡山大学医学部臨床准教授
- がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
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岸野 大蔵/ きしの だいぞう
H7年卒
役職 第一呼吸器内科部長
- (兼)呼吸器副センター長事務取扱
専門分野 呼吸器内科(肺がん)
資格 - 岡山大学医学部医学科臨床准教授
連携病院・開業医の先生方へ
肺がんの診断段階や気胸・膿胸の治療などは、内科・外科が共同で行っておりますので、地域の医療機関の皆様には窓口として“呼吸器センター”宛にFAX予約していただければ、早急に診察枠を予約させていただきます。
今日の医療はかかりつけ医の先生方を含めた地域の医療関係の皆様のご協力による“チーム医療”で初めて成り立ちます。皆様のお力をお借りして総合診療体制で良質な呼吸器診療の提供を目指します。
※夜間・休日の呼吸器センター宛の対応は行えません。ご了承ください。
地域がん診療拠点病院として
これまで当院は地域がん診療拠点病院として、免疫療法やゲノム医療、低侵襲なロボット支援手術といった最新のがん治療をいち早く地域の皆様に提供することができました。これからも呼吸器センターとして、最新の標準治療を地域の皆様に提供してまいります。