薬剤部

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診療受付時間 午前 8:30〜11:00
休診日 土・日・祝日・創立記念日(5/1)
・年末年始(12/29~1/3)
面会時間 平日 14:00~16:00、
土・日・祝日 13:00~17:00

薬剤部

部門紹介

はじめに

姫路赤十字病院薬剤部は、安全で適切な薬物療法の提供を使命とし、調剤・注射調製・病棟業務・医薬品情報提供・チーム医療など多岐にわたる業務を担っています。薬剤師は医薬品の専門家として医療の質と安全を支える重要な役割を果たし、日々その責任を実感しながら業務にあたっています。
近年は、より専門的かつ自律的な対応が求められ、日常業務から臨床上の疑問(Clinical Question)を見出し、根拠に基づく提案を行う力が必要です。他職種と対等に意見を交わし、最善の薬物療法を追求する姿勢が求められます。また、安全への配慮は薬剤業務の根幹であり、インシデントを未然に防ぐ感受性や組織的対応力を養い、安全文化の醸成に努めています。人材育成にも注力し、薬学生や新人教育に加え、全職員がキャリアを意識し成長を実感できる環境づくりを進めています。学び続ける姿勢を大切にし、進化し続ける薬剤部を目指しています。

薬剤部の目標

安心・安全な薬物療法を提供するとともに、病院全体の持続的な発展に寄与する。

  • 医薬品の適正使用を推進し、病院運営に貢献する
  • 薬剤部の価値向上と専門性を強化する
  • 次世代を担う人材を育成する
  • 医薬品の安全管理を徹底し、医療安全文化を醸成する

薬剤部の特徴

(1)チーム医療の中核として、現場に根ざした薬学的支援

薬剤師は、入院患者に対して処方設計や副作用のモニタリング等を行い、薬学的な支援を提供しています。各病棟には専任薬剤師を配置し、ICUや手術室においても重症患者や周術期の薬物療法に対応しています。年間約22,000件の薬剤管理指導の実施と、病棟薬剤業務実施加算1・2の取得し、薬剤師は積極的にチーム医療に参画しています。

(2)がん治療を支える高い専門性と安全管理体制

がん化学療法に対して、約16,000件の抗がん剤を調製しています。薬剤師は薬剤指導や副作用の確認・対応を通じて、患者の理解と安心感の向上に努めています。また、がん薬物療法体制充実加算の取得により、治療計画の段階から医師や看護師と連携し、質の高い医療体制を整えています。

(3)地域と連携し、継続的な薬物療法支援を展開

入退院支援課に薬剤師を配置し、入院前から患者の服薬状況等を把握することで、安全で効率的な薬物療法に繋げています。退院時には薬剤指導に加え、薬剤情報を保険薬局等に提供し、在宅療養や外来での継続治療を支援しています。化学療法に関する情報提供は年間1,000件を超え、連携充実加算(年間1,231件)の取得とあわせて、地域全体の薬物療法の質向上に取り組んでいます。

数字で見る薬剤部(R6年度実績)

数字で見る薬剤部

地域医療機関の皆さまへ

化学療法レジメン

当院では、がん化学療法を受けられる患者に対し、安全かつ適正な薬物治療を提供することを目的として、使用しているがん化学療法レジメンを公開しています。レジメンの一覧につきましては、化学療法センターのページをご参照ください。

※姫路赤十字病院 化学療法センター

トレーシングレポート

当院では、患者の薬物療法をより安全かつ適正に継続できるよう、保険薬局からのトレーシングレポート(服薬情報提供書)のご提出を受け付けております。

1)提出方法 FAXで当院にご提出ください(FAX:079-299-5519)
2)提出先 地域連携室
3)その他 医療上の緊急性が高い内容については、直接主治医への連絡をお願いいたします。

特定薬剤管理指導加算1における情報提供

当院では、患者の薬物療法を安全かつ適正に継続していただくため、特定薬剤管理指導加算2に対応した情報提供を受け付けています。情報提供の際は、下記の情報提供用紙(服薬情報提供書)をご使用のうえ、指定のFAXまで提出をお願いいたします。

1)提出方法 FAXで当院にご提出ください(FAX:079-299-5518)
2)提出先 薬剤部
3)提出用紙
4)その他 医療上の緊急性が高い内容については、直接主治医への連絡をお願いいたします。

処方内容の問い合わせ・処方箋への検査値の記載について

当院では、院外処方箋に関する疑義照会の取次ぎや回答は薬剤部では行っておりません。処方内容に不明点や確認すべき事項がある場合には、必ず処方医へ直接照会いただきますようお願いいたします。
また、当院が発行する院外処方箋には、一部の検査値や身体情報(身長・体重・体表面積)を記載しております。なお、患者ご本人の希望により、検査値等の記載が省略されている場合もございますので、あらかじめご了承ください。

教育研修・資格

教育スケジュール

新人教育はチェックリストに基づき、業務の抜け漏れがないよう技能習得を目指して進めています。教育はOJTを基本とし、指導薬剤師が個々の習熟度や希望に応じて柔軟に対応します。入職後は、まず3ヶ月以内に抗がん剤調製を含む一通りの調剤業務を習得し、当直者の補佐ができるようにします。4~6ヶ月目は、当直業務への対応を見据えたスキルの向上に重点を置きます。半年以降は、病棟業務に必要な能力の習得に重点を移していきます。

新採用職員の教育スケジュール

薬学実務実習

当院薬剤部では、将来の医療を担う薬剤師の育成に貢献するため、薬学部の学生を対象とした薬学実務実習(病院実習)を受け入れています。
実習期間中は、調剤業務,病棟業務、医薬品情報管理、チーム医療への参画など、薬剤師が医療現場で果たす役割を実践的に学べるよう、指導薬剤師が丁寧にサポートしています。

(受入実績) R7年度(4名) R6年度(3名)

資格取得状況

がん薬物療法認定薬剤師 3名
外来がん治療認定薬剤師 2名
緩和薬物療法認定薬剤師 3名
NST専門療法士 4名
糖尿病療養指導士 5名
感染制御認定薬剤師 2名
医療情報技師 2名
心不全療養指導士 1名
日本病院薬剤師会薬学認定薬剤師 14名
薬剤師研修センター認定薬剤師 6名
実務実習指導薬剤師 2名
漢方薬・生薬認定薬剤師 1名
医療薬学専門薬剤師 1名
術後疼痛管理研修修了薬剤師 3名
スポーツファーマシスト 2名
博士 2名

施設認定

  • 日本臨床腫瘍薬学会がん診療病院連携研修施設
  • 薬学生実務実習受入認定施設

臨床業務

薬剤部業務紹介

(1)組織図
組織図
(2)調剤・注射業務
  • 内服薬・外用薬の調剤

    入院患者を中心に、処方内容の妥当性を確認したうえで、患者ごとに調剤を実施しています。薬剤同士の相互作用、重複、禁忌、投与量などについては常にチェックを行い、安全な薬物療法を支援しています。

  • 一包化調剤

    服薬のタイミングに合わせて複数の薬剤を一包化し、患者の服薬管理をサポートしています。誤薬防止とアドヒアランス向上の観点から、看護師や患者からも高い評価を得ています。

  • 注射薬調剤と払い出し

    注射薬については、配合変化・投与経路・安定性などを確認したうえで、患者別に個人セットを作成し、病棟へ払い出しています。

  • 安全性・効率性を高めるための機器導入

    調剤過誤防止および業務の効率化を目的に、先進的な医療機器を導入しています。
    (薬剤部門システム:Yunicom-GX(ユヤマ))
    調剤監査システム,自動錠剤分包機,散薬調剤ロボット,注射薬自動払出システム,薬剤業務支援システム(病棟業務支援システム,麻薬管理システム,血液製剤管理システム,医薬品データベース,院内物流管理システム)

調剤室

調剤室

調剤室

調剤室

注射室

注射室

(3)製剤業務
  • 院内製剤

    患者一人ひとりに最適な薬物治療を提供するため、医師の依頼に基づき院内製剤の調製を行っています。市販の医薬品では対応が難しいケースや、個別性の高い治療ニーズに応えるために、安全かつ無菌的な環境での製剤を実施しています。

  • TPN(中心静脈栄養)の調製

    経口・経腸摂取が困難な患者に対して、TPNの無菌調製を行っています。薬剤部では、クリーンベンチを設置し、薬剤師が無菌操作を厳格に遵守した上で、患者ごとの処方に基づいたTPNを調製しています。

(4)DI業務
  • 相談応需

    医師・看護師・薬剤師からの医薬品に関する問い合わせ(用法・用量、副作用、相互作用、配合変化など)に、最新の根拠に基づいて対応しています。

  • 採用・削除薬品の評価

    新規採用や削除に関する情報を収集・整理し、薬事委員会資料の作成を行っています。

  • 安全性情報の提供

    添付文書改訂、回収情報、副作用情報などを収集し、院内に周知しています。

  • 薬品マスタの管理

    電子カルテや処方オーダリングシステムに登録されている薬品マスタの整備・更新を担当し、業務の円滑化とエラー防止に寄与しています。

  • 情報発信と教育支援

    DIニュースや注意喚起文書の発行、研修資料の作成を通じて、医薬品に関する知識の啓発に努めています。

DI室

DI室

(5)手術部業務(周術期管理業務)
  • 麻酔・手術用薬剤の管理

    麻酔薬、筋弛緩薬、血液製剤、抗菌薬など、手術で使用される注射薬の適正な在庫管理と払い出しを行っています。

  • 術前の服薬確認と休薬支援

    抗凝固薬・糖尿病治療薬などの休薬可否を薬学的に評価し、医師の判断をサポートしています。

  • 術後の薬物療法支援

    感染予防や疼痛管理、抗血栓療法など、術後の薬物治療が安全かつ有効に行われるよう支援しています。

手術部

手術部

(6)がん化学療法業務
  • 抗がん剤の混合調製

    安全キャビネット内で、薬剤師が無菌的かつ正確に抗がん剤を調製しています。閉鎖式器具を用いた曝露防止対策を実践し、患者・医療従事者双方の安全に配慮しています。

  • レジメン管理と確認

    院内で使用される化学療法レジメンについて、内容の妥当性・安全性を確認し、電子カルテ機能を活用して適切な治療が実施されるよう支援しています。

  • 薬剤指導・副作用モニタリング

    外来・入院を問わず、治療中の患者に対して薬剤指導を実施し、副作用や相互作用の確認を通じて継続的な薬物治療をサポートしています。

  • チーム医療への参画

    がん化学療法委員会やキャンサーボードに参加し、他職種と連携して最適な治療計画の立案と実行に貢献しています。

抗がん剤調製

抗がん剤調製

(7)病棟業務

当院では、薬剤師が病棟に常駐または定期的に訪問し、入院患者の薬物治療に積極的に関与しています。処方内容の確認、服薬指導、副作用のモニタリング、退院支援などを通じて、安全で効果的な薬物療法を支えています。
また、各病棟にサテライト薬局(薬剤分室)を設置しており、病棟薬剤師がより迅速に対応できる体制を整えています。これにより、処方内容の確認,薬剤管理、看護師・医師との連携が円滑に行える環境を実現しています。

  • 病棟薬剤業務実施加算に対応

    病棟薬剤師が処方内容の確認、注射薬の配合チェック、検査値に基づく薬学的評価、カンファレンス参加などを通じて、チーム医療に貢献しています。

  • 薬剤管理指導(服薬指導)

    入院患者へ薬の使い方や注意点をわかりやすく説明し、副作用や相互作用の確認を行います。

  • 退院時の薬学的支援

    持参薬や処方薬の整理、退院後の服薬支援、かかりつけ薬局との情報共有など、継続的な治療を支援します。

病棟薬剤業務

病棟薬剤業務

サテライト室

サテライト室

患者指導

患者指導

チーム医療への参画

当院では薬剤師が多職種と連携し、様々な医療チームに積極的に参画しています。感染対策チーム(ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)、栄養サポートチーム(NST)、緩和ケア、がん化学療法、糖尿病チームなどにおいて、薬剤師は薬学的な視点から薬剤の選択や投与設計、副作用対策などを担当し、治療の質の向上に貢献しています。
このような幅広いチーム医療への関与は、当院の大きな強みであり、安全で質の高い医療の提供に寄与しています。薬剤師は専門職として、医師や看護師をはじめとする他職種と意見を交わし、チーム医療の一員として責任ある役割を担っています。

薬剤師が参加している医療チーム
  • 感染制御チーム(ICT)
  • 抗菌薬適正使用チーム(AST)
  • オーラルマネジメントチーム(OMT)
  • 緩和ケアチーム
  • 精神科リエゾンチーム
  • 糖尿病療養支援チーム
  • 栄養サポートチーム(NST)
  • 認知症ケアチーム
  • 術後疼痛管理チーム
  • 造血幹細胞移植チーム
  • AYA支援チーム

地域連携

薬剤部では、保険薬局との連携を重視し、継続的な薬学的支援を通じて地域医療に貢献しています。退院時には、処方内容や服薬上の注意、副作用への対応などを整理し、必要に応じて保険薬局へ情報提供を行います。さらに、地域薬剤師との情報交換や勉強会の協力、トレーシングレポートの活用を通じて、医療機関の垣根を越えた連携体制の構築を進めています。

災害医療への貢献

当院薬剤部では、災害時にも医薬品を安全・適切に提供できるよう、平時から体制整備を行っています。2024年の能登半島地震では、当院薬剤師が被災地へ派遣され、現地での医薬品管理や服薬支援活動に従事しました。

業績

学会発表

2024年度
  • 松本英丸,福山正人,高嶋梨恵,三葉智絵美,畑中由香子.能登半島地震における赤十字救護班の薬剤師の活動報告と課題について.日本薬学会第145年会,福岡

論文,著書

講演,研修会

2024年度

[ 外部 ]

  • 大里勇二.「肺がん」令和6年度第2回薬剤師連携推進研修会

  • 島田 健.「病院薬剤師の立場から副作用管理について」造血幹細胞移植ベーシックセミナー

  • 山口裕大.「当院における薬剤師の指導の実際」兵庫県薬剤師会ママパパサポート認定薬剤師研修会

  • 島田 健.「外来でのがん患者の医療用麻薬導入指導について」姫路薬剤師会県病薬・西播支部薬薬連携研修会

  • 中村祥敬.「胃がん治療薬であるCLDN18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ点滴静注の解説」兵庫県薬剤師会・兵庫県病院薬剤師会共催研修 令和6年度第2回新薬レビュー研修会

  • 島田 健.「炎症性腸疾患の薬剤で注意するポイント」兵庫県西播支部学術講演会

  • 北宅良祐.「当院における悪心嘔吐対策の取組み」CINVカンファレンスin姫路

[ 院内 ]

  • 福田朋子.「PCAポンプの機種変更と運用見直しへの取組み」院内学術研究発表会

  • 島田 健.「免疫チェックポイント阻害薬の有害事象について〜自分や家族が治療を受けるつもりで心得ましょう〜」院内医療安全講習会

  • 玉田智子.「静脈注射に関する薬剤の基礎知識と管理」姫路赤十字病院看護部静脈注射レベルⅡ研修会

  • 島田 健.「がん化学療法に使用される薬剤について」姫路赤十字病院がん看護研修会静脈注射レベルⅢ研修会

  • 福山正人.「薬剤師としての立場から‐」姫路赤十字病院能登半島地震派遣報告会

  • 福山正人.「ビーフリード輸液と菌血症について」令和6年度院内研修会

  • 島田 健.「肺がんのお薬について」健康増進講座

  • 江端一朗.「薬を安全に使うため」健康増進講座

  • 島田 健.「医薬品の適正使用について」健康増進講座

表彰・受賞

  • 松本英丸,邑上達也.院内ワンポイント改善活動2024