食道静脈瘤
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食道静脈瘤とは
食道の粘膜を流れる静脈が瘤(こぶ)のようにふくらんで曲がりくねってでこぼこになった状態をいいます。胃にもできることがあり、その場合は胃静脈瘤といいます。
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原因
初期には症状はありません。しかし、静脈瘤が大きくなり破裂すると、突然に大量の吐血や下血がおこり、血圧が下がります。治療が遅れると出血多量で死亡することがあります。
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症状
食道静脈瘤の原因の大部分は肝硬変です。肝硬変により肝臓に血液を送り込む門脈という血管の圧が高まると門脈圧亢進症という状態になります。すると静脈血の流れる方向が逆になり、食道の静脈に大量の血液が流れ込むことで血管が太くうねった状態になります。これを食道静脈瘤といいます。
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診断
食道静脈瘤の診断には上部消化管内視鏡(胃カメラ)が必要です。肝臓の病気がある人は定期的に内視鏡でチェックすることが必要です。破裂のサイン(静脈瘤が赤くなるサイン)を見つけることで予防的に治療できます。
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治療
当院では内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)と内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を行っています。患者さんの全身状態や肝機能などを評価して適切な治療法を選択します。
内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)の模式図
逆流性食道炎
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逆流性食道炎とは
逆流性食道炎は、強い酸性の胃液や、胃で消化される途中の食物が食道に逆流してとどまるために、食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどさまざまな症状を生じる病気です。逆流性食道炎は、もともと日本人には少ない病気でしたが、食生活の変化などによって、患者さんが増えています。
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症状
典型的な症状は胸やけですが、それ以外にも下図のようなさまざまな症状を来します。慢性の咳の中には逆流性食道炎が原因になっていることもあります。
- 胸やけ
- げっぷ
- 苦い水が上がる
- のどの違和感
- おなかの張り
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診断
逆流性食道炎の診断には上部消化管内視鏡(胃カメラ)が必要です。同じような症状でも、食道がんが隠れていることもあるので、このような症状があれば一度は内視鏡を受けましょう。
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治療
飲み薬(プロトンポンプインヒビター)でほとんどの人は症状が改善します。