膵頭腫瘍に対する「ロボット支援下膵頭十二指腸切除術」を開始しました
姫路赤十字病院では、2024年11月より手術支援システム「ダ・ヴィンチXi」を用いた、ロボット支援下膵頭十二指腸切除術を開始しました。
兵庫県播磨姫路圏域では、初めての実施施設となります。
膵頭十二指腸切除術は膵頭部の領域にできる腫瘍に対する手術であるため、対象疾患は膵癌、胆管癌、十二指腸乳頭部癌、その他の低悪性度腫瘍を含む膵頭部腫瘍となります。腹部の手術の中で最も複雑で難易度の高い手術の一つとされており、通常大きな開腹下で手術操作を行いますが、術後の疼痛が早期離床の妨げとなっています。
当院では、高難度手術と低侵襲を両立させるため、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を以前より導入していますが、腹腔鏡下操作では消化管再建が非常に困難で、膵空腸吻合は小開腹下(10cm程度)で行わざるを得ませんでした。これらを解決したのがロボット支援下手術です。特に、膵空腸吻合、胆管空腸吻合の再建に対し、多関節機能を持つ同システムは有用で、全ての操作を腹腔内で行うことが可能になり、摘出臓器を取り出すために必要な4cmの切開創が、本術式での最大の手術創となっています。
本手術は体に優しい手術として期待されていますが、高度な技術を要するため非常に高いハードルが設けられており、日本では選ばれた一部の施設でのみ本手術の実施が認められています。当院には肝胆膵高度技能指導医1名(資格:ダ・ヴィンチ・プロクター)、専門医2名が在籍しており、この手術を担当しています。
当院外科では、地域の患者さんに低侵襲治療が広くお届けできるよう、これからも安全で良質な医療が提供できるように行ってまいります。