各センターのご案内

神経内分泌腫瘍(NEN)センター

神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体核医学内用療法(PRRT)開始のお知らせ

2023年2月2日、神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体核医学内用療法(PRRT)を開始いたしました。
兵庫県内では4番目、播磨姫路圏域では初めての導入です。
姫路赤十字病院NENセンターではこの新しい治療を地域の神経内分泌腫瘍患者さんに広くお届けできるよう、努めて参ります。


ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)とは
 神経内分泌腫瘍(NEN:ネン)にあるソマトスタチン受容体(SSTR)に親和性の高いペプチド(ソマトスタチンアナログ;SSA)に、放射性同位元素(177Lu;ルテチウム-177)を結合させた薬剤を静脈投与し、腫瘍細胞内から放射線照射する治療法です。



PRRTよる神経内分泌腫瘍治療の実際

 

神経内分泌腫瘍(NEN)センターからのお知らせ

 NENとは、Neuroendocrine neoplasm(神経内分泌腫瘍)の略で、本邦での頻度は年間6,000人程度とされるまれな疾患です。しかし、疾患の認識が広がったことや、人間ドックでの超音波検査、CT検査により偶然発見されることもあり、NENと診断される患者は増加傾向にあります。NENは比較的良性とされるNET G1から、悪性度の高いG3、さらに急速に進行するNECまでさまざまな病態を含む疾患であり、経過観察、手術、薬物療法の治療が、腫瘍径や転移の有無、組織型によって異なってきます。
 必要とされる検査は、オクトレオレキャン、超音波内視鏡下生検、病理診断、PET-CT検査になり、その結果を消化器内科、消化器外科、呼吸器内科、病理診断科、放射線診断科、放射線治療科、放射線治療科の専門医がそれぞれの専門知識を生かしながら解釈し、的確なNEN治療を提供するのです。機能性NENの場合で局在診断を明らかにする必要がある場合はIVR専門医に依頼しSASI testを行う必要があり、遺伝性腫瘍である多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)、フォンヒッペルリンドウ病(VHL)を疑う場合は遺伝診療部門への紹介が必要になります。まさしくチーム医療が必要とされる疾患と言えるでしょう。
 治療面においては、内視鏡切除、外科切除、薬物治療、肝転移を有する場合には肝切除、動脈塞栓療法や腫瘍焼灼術が用いられています。さらに、放射線同位元素を用いる内用療法(ルタテラ:Lu-177)を2023年2月より開始しました。ルタテラを用いた(Peptide Receptor Radionuclide Therapy: PRRT)は優れた治療成績(NETTER-1 study)を示しており、治療不能であったNEN患者の福音ともいえる治療です。姫路赤十字病院は、この播磨姫路圏域において唯一のPRRT治療が可能な医療機関です。
 神経内分泌腫瘍(NEN)センターでは相談窓口としてNEN専門外来を開設していますので、是非ご利用下さい。


神経内分泌腫瘍(NEN)センター センター長 甲斐 恭平


症例(インスリノーマ)

▲造影CT検査で膵尾部に濃染する腫瘤(赤矢印)を認める


▲超音波内視鏡による腫瘍生検(赤矢印:穿刺針)



脾動脈からの血管造影(カルシウム溶液を用いたSASI test)によりインスリン値の上昇を認め、インスリノーマと診断しました。濃染部位(赤矢印)が腫瘍です。


▲濃染部位(赤矢印)が腫瘍


神経内分泌腫瘍(NEN)専門外来について

かかりつけ医の先生からFAXにて地域医療連携室に紹介していただくことで受診可能です。

神経内分泌腫瘍(NEN)専門外来担当

専門 担当(内科)
消化管 堀 伸一郎
膵臓・胆道 髙谷 昌宏
※なお、紹介状には【神経内分泌腫瘍(NEN)専門外来 受診希望】とご記載ください。


スタッフ紹介

  • 甲斐 恭平

    副院長
    神経内分泌腫瘍(NEN)センター長

  • 堀 伸一郎

    内科
    消化管内科部長(兼)消化器副センター長

  • 髙谷 昌宏

    内科
    第一消化器科部長(兼)内視鏡センター長

  • 岸野 大蔵

    内科
    呼吸器内科部長(兼)呼吸器副センター長

  • 信久 徹治

    外科
    消化管外科部部長

  • 武本 充広

    放射線科
    第一放射線治療科部長

  • 伏見 聡一郎

    病理診断科
    病理診断科部長職務代理

  • 正岡 佳久

    放射線科
    放射線診断科副部長