脂肪性肝疾患
世界的な肥満人口の増加を背景として,非アルコール性脂肪性肝疾患の増加は大きな公衆衛生上の問題となってきている。当院においても非アルコール性脂肪性肝疾患は近年急速に増加している。実際に非アルコール性脂肪性肝炎から末期肝硬変症や肝細胞癌に至った症例合併例を日常診療でも頻繁に目にするようになった。
こうした中で,非アルコール性脂肪性肝炎を効率的に診断していく仕組みを作ろうと検討しており、具体的には肝生検だけでなく非侵襲的な手法による診断確定,耐糖能や腎機能の評価,食生活,運動習慣の評価と是正を柱とし,悪性腫瘍のスクリーニングを効率的に行うためのハイリスク集団の囲い込みを検討中である。現在,国内の多施設で超音波減衰法による肝脂肪の非侵襲的診断の前向き研究に参加しており,症例数を重ねていきたい。さらにGLP-1受容体作動薬やペマフィブラートなどの有効性を検証する国内の多施設研究にも参加しており,脂肪性肝疾患の診療をより充実したものとしていく 。