放射線治療

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診療受付時間 午前 8:30〜11:00
休診日 土・日・祝日・創立記念日(5/1)
・年末年始(12/29~1/3)
面会時間 平日 14:00~16:00、
土・日・祝日 13:00~17:00

放射線治療

放射線治療について

悪性腫瘍の治療において、放射線治療は手術・化学療法とならんで3本柱の一つとして大きな役割を担っています。放射線治療はがん細胞に放射線を照射してがん細胞を死滅させる治療です。手術と同様に局所療法かつ根治療法と言えますが、手術と異なる点として病巣部の形態や機能を温存できる点が挙げられます。がんの初回治療として用いられるだけでなく、がんの再発に対しても有効な治療となる場合もあります。さらに症状の改善を狙う緩和目的の治療まで幅広い役割を担っています。放射線は細胞のDNAに直接作用してがん細胞が分裂して数を増加させる能力をなくしたり、細胞が自ら死んでいく過程であるアポトーシスという現象を増強したりしてがん細胞を死に至らしめます。がん細胞だけでなく周辺の正常細胞にも同じ作用をしますが正常細胞はがん細胞よりは障害が軽いと言われています。

リニアックについて

がんのかたまりとその周囲のがん細胞を死滅させるため、体外から皮膚を通して放射線を照射する外部放射線治療を行う装置で、がん治療に必要な高エネルギーのX線や電子線を発生させます。最も一般的・基本的な放射線治療装置であり、脳から四肢まで、全身のあらゆる地域の病変の治療が可能です。当院では既存の放射線治療装置①(VARIAN社製Clinac-iX)に加え、2019年9月より、当院2台目となる放射線治療装置②(VARIAN社製TrueBeam)が稼働しております。この装置は最新の技術に対応できる汎用性の高い放射線治療装置であります。特徴として、①強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)などの高精度放射線治療に対応可能。②高い線量率で短時間の放射線治療が可能。③呼吸同期照射などの最新技術に対応可能。だだし、従来装置と同様体に外から放射線をあてる外部照射装置で、治療中は体を動かさずにじっとしていなければなりません。

画像誘導放射線治療とは

画像誘導放射線治療(IGRT;image-guided radiotherapy)とは画像情報をもとに、治療患者さんの位置誤差を補正しながら正確に治療を行う技術です。小さながん腫瘍に放射線をあてる場合や正常組織にがん腫瘍が隣接している場合があるため、放射線をあてる位置決めが大切になります。当院のリニアックにはIGRTを行えるように、位置合わせ専用装置OBI(On Board Imager)が搭載されています。(下記写真○印)

OBIは治療寝台に寝ている患者さんの正面と側面のkV-X線画像を撮影することで、そのとき患者さんの寝ている位置を理想の場所へと移動させます。(遠隔操作により寝台を動かして位置の微調整を行います)またCT(Cone Beam CT;CBCT)を撮影することも可能でありkV-X線画像では見えにくい軟組織による位置合わせも可能です。この方法を用いれば、がん腫瘍以外の正常組織に放射線が当たるリスクが最小限になり、より安全な治療を行うことができます。

▲治療計画X線画像とOBIによるX線画像の位置合わせ(腰椎ファントム使用)

▲治療計画CT画像とCBCT画像の位置合わせ(腰椎ファントム使用)

強度変調放射線治療(IMRT)とは

強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)とは、コンピュータの進歩により、放射線(X線)のビーム強度を変化させ、MLC(マルチリーフコリメータ)によって腫瘍に対して適した照射野の形状を任意に変化させながら行う放射線治療です。腫瘍に対して放射線の集中性・均一性の向上と周囲の正常組織への線量の低減を目的としているため、従来の治療方法に比べ、放射線による副作用を抑え、より多くの放射線を腫瘍に照射することが可能になります。
強度変調回転照射法(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)はIMRTと回転照射を組み合わせた照射方法です。装置の回転速度と放射線の線量率を変化させながら治療を行うことで、治療時間の短縮が図れます。

このようにして装置が回転します。

MLC(マルチリーフコリメータ)

従来

IMRT(VMAT)

従来の照射方法ではMLCは一定で動作しないのに対し、IMRTはMLCが動作し照射中にさまざまな形に変化して標的部位に適した形で照射を行います。

線量分布

従来の照射方法では放射線を照射したくない臓器である直腸の大部分に照射されてしまっているのに対し、IMRTでは直腸を避け標的部位である前立腺の形に適した照射方法です。ただし、直腸や周りの正常組織に全く照射されていないというわけではありません。したがって、副作用も起こる可能性もあります。
従来の照射方法であれば治療計画用CT撮影した翌日からの開始ですが、IMRT・VMATは従来の照射方法に比べ治療開始までの準備に時間がかかります。また、治療に必要な範囲が十分にカバーできない場合があるなど、治療部位によっては従来の放射線治療や他の治療方法が最適と判断される場合があります。

放射線治療対象疾患

  • 上皮性悪性腫瘍(乳がん、肺がん、前立腺がん、食道がん、頭頸部がん、直腸がん、子宮がん、卵巣がん等)
  • 非上皮性悪性腫瘍(骨肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫等)
  • 造血器(白血病、リンパ腫、骨髄腫等)
  • 良性疾患(血管腫、バセドウ病、ケロイド等)
  • 緩和目的