子宮頚部異形成・子宮頚部上皮内癌
異形成とは(癌ではないが)細胞や細胞配列が乱れる病変のことですが、その程度によって、軽度異形成、中等度形成、高度異形成に分類されます。高度異形成は子宮頸癌の前癌病変となされています。上皮内癌は癌細胞が表面のみに留まっているものです。
1.症状
自覚症状はあまりありませんが、性交時出血や帯下(おりもの)異常が認められることがあります。
2.検査・診断
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細胞診
いわゆる子宮癌検診です。子宮頸部を綿棒などで擦って細胞を採取し、顕微鏡で細胞の異常を調べます。結果はベセスダ分類に基づいて分類し、NILM(正常)以外は精密検査(腟拡大鏡検査・組織診・HPV検査)を行います。
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腟拡大鏡検査(コルポスコピー)
細胞診で異常が出た場合に行います。子宮の入口を拡大して観察します。
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組織診
腟拡大鏡検査で異常所見が認められた部分を採取し、顕微鏡で検査します。また、子宮頸管内組織を採取することもあります。結果は、悪性所見なし、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成、上皮内癌、微小浸潤癌、浸潤癌などに分類されます。
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HPV(ヒトパピローマウイルス)検査
細胞診でASC-USが出た場合、ハイリスクHPV感染があるかどうかを検査します。(当院は保険適応で実施できる施設になっています)
子宮頸部軽度異形成・中等度形成はHPVの型判定を行います。
3.治療
軽度異形成・中等度異形成は経過観察が可能です。
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子宮頸部円錐切除術
子宮頸部の病変全体を円錐形に切除します。
主に、高度異形成、上皮内癌に行います。中等度異形成に対しても行うことがあります。
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子宮全摘術
子宮全体を取る方法です。上皮内癌に行うことがあります。