2024年度入職 Hさん
初めまして、研修医2年目のHです。
私からは、病理診断科のローテーションについてお話ししたいと思います。
説明会資料などでも見かけると思いますが、当院はがん診療連携拠点病院に認定されており、内視鏡、呼吸器、周産期母子といった複数のセンターを設けています。そのため、手術や内視鏡、各種生検や細胞診など、多種多様な検体が病理診断科にやってきます。組織診、細胞診、術中迅速検査を併せ、年間のべ20000例程度の診断を行っています。
業務(研修)内容としては大きく、切り出し、診断、解剖に分かれます。
- 切り出し
ホルマリン固定された手術材料の肉眼所見をとり、部位の計測を行い、検鏡に適したサイズに切り分けます。この際、どこまで浸潤しているか、どこが診断に重要か、どこを見るべきかを考えながら行わなければなりません。
切り出した検体はカセットに入れて、技師さんにパラフィンで包埋、薄切、染色してもらいます。 - 診断
完成したスライドを顕微鏡で検鏡します。見える所見を確認しつつ、アトラスや規約を参考に診断を付けます。必要に応じて更なる切り出しや特殊染色、電子顕微鏡やゲノムといった外注検査を追加します。私たち研修医も、上級医とともに検鏡、ディスカッションを行い、診断レポートを書きます。 - 解剖
当院での病理解剖は年間5-10例程度です。解剖が行われる時は研修医も参加します。
私は小児科志望なのですが、学生の頃から病理学が好きだったため選択研修で選びました。小児外科や産婦人科の検体を多く見ましたが、とりわけ胎盤病理と児の状態を併せて見ることで、疾患と病態の理解がより深まったように感じました。
外科系に進んでも内科系に進んでもお世話になる病理診断。自分の目指す分野の組織像ぐらいはしっかり見られた方がいいと思うのですが、なぜかローテーションを希望する初期研修医の数は多くありません。一般市中病院でここまで症例数、上級医数の揃った病院もあまりないと思います。進路によっては、いろんな組織像を見られる最後の機会になるかもしれません。みなさんも、ローテーションの合間に楽しく病理を学びませんか?