選択領域 | 消化器内科 |
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初期研修先 | 近畿大学医学部附属病院 |
診療科が最も揃っているのはやはり大学病院ですし、学生生活の中で人間関係を広げていたこともあり、知っている先生や先輩が大勢いて、悩んだときに相談できる環境かなと考えました。初期研修でいきなり外に出て、環境に慣れることに精一杯になるよりも慣れ親しんだ環境で研修医生活に入っていった方が色々なことを吸収できそうでしたので、大学病院を選びました。
学生のときとは全く違って、実際に自分で動いて患者さんのところに行かないと、患者さんからの情報は得られません。自分でどういう手技がしたいのか、どういう症例を診たいのかを考えないと診られる範囲が狭くなるので、そういう努力は必要でしたね。ただ、すぐ上に先輩がいたり、よく知っている先生がいて、すぐに相談できていたので、あまり一人で悩んだり、困ったりしたことはありませんでした。
最初から何となく内科だという感覚があったので、内科に決めたのはいつだったかというよりも、研修先の場所を姫路に決めたのが先なんです。初期研修2年目の夏には決めていました。見学には結構早く来た方で、2年目の春には来ていました。ほかの病院も少し見学に行きましたが、最終的に姫路にしたのはやはり実家が姫路にあるからです。
姫路の病院の中で姫路赤十字病院を選んだのは市中病院の中でも診療科が揃っていることと、診療科が揃っているけれども専門分野できっちり分けられすぎてはいない部分もあったことですね。大学病院だと消化器内科は消化器内科の疾患を診て、消化器内科の患者さんに糖尿病があれば、糖尿病管理は糖尿病内科にお任せするようなところがありましたが、当院は自分で消化器内科の疾患を診ながら、糖尿病を合併している患者さんなら糖尿病内科の先生に相談しながら、自分でコントロールしたりします。患者さんを色々な科で分割して診るのではなく、色々な科が一緒になりつつ、でも自分が主治医として診ていける環境なのが良かったです。
消化器内科を選んだ理由は初期研修で消化器内科を回って楽しかったというのが一番です。
カメラという手技もあり、腫瘍やIBDのような炎症性腸疾患などの自己免疫系の疾患もあります。色々な病態の疾患があり、最初は全部を診ないといけないのですが、最終的に何をしたいのかをはっきり決めきれていなかったので、色々な方向性を選べる科だと思い、消化器内科を選びました。
どの市中病院でも上部消化管と下部消化管の内視鏡は行っていますが、当院の消化器内科では内視鏡の生検やERCPなどの手技を積極的に行っているのが特徴です。大学病院でしたら、コンスタントにしているでしょうが、市中病院では珍しいと思います。IBDの炎症性腸疾患をメインで診ている先生、ESDという粘膜剥離術をよくされている先生など、色々な得意分野をお持ちの先生方がいらっしゃるので、何でも学べる環境です。どの先生にも質問できますし、「あの先生に聞いたらいいよ」と繋いでくださることもあるので、とても良い病院だと実感しています。
今は消化器内科を回っていますが、消化器内科の疾患だけを診ているわけではなく、褐色細胞腫の患者さんだったり、糖尿病のコントロールが大変な患者さんだったり、消化器内科に限ればイレウスで便が出なくて困っているなど、色々な患者さんを診ています。そのため、消化器内科の先生のみならず、色々な先生方に「これはどういう治療をしていけばいいですか」と相談したりするのが勉強になるし、楽しいところです。
「どうしましょう」と伺ったときに、一回考えさせてくださるので、逆にそれが辛かったりもするのですが、自分が考えた結果をもとに方向を修正していただくという指導を受けています。聞いたらすぐに答えが返ってくるのではなく、自分で考えていけるような指導をしていただける環境です。
私が大学病院にいたからだというのもあるかもしれませんが、大学病院は上の先生がされていることを見て、指示されることの方が多く、市中病院は自分で考えて行動することが多いです。市中病院だからというよりは後期研修になったからというのも大きいですが、主治医になって、患者さんが入院してから退院するまで、そして、どういうふうに退院するのかというところまで考えないといけません。そこが大きく違いますね。初期研修は入院している間だけを診ていましたが、後期研修は退院後を見越して治療を進めていくので、考え方がかなり変わりました。
患者さんに不利益がないよう、不安なときは上の先生にすぐ相談や質問をします。
本当に良い方ばかりです。後期研修医といえども、まだ知識や技術が足りないことが本当に多いのですが、例えば内視鏡センターの看護師さんであれば、私はカメラの技術が本当にまだなんですけども、それでも看護師さんの方から「先生、この患者さんをしませんか」と声をかけていただいたり、内視鏡の細かいカメラのことだと看護師さんの方がよくご存じなので、そういうことを教えてもらったりもします。処方に関しても、悩んだら薬剤師さんに聞いて、お薬の使い方や「こういうことにはあまり薬は使えません」といったことも教えていただけることが多いので、コミュニケーションをよく取れる環境ですね。
内科カンファレンスは月曜日、合同カンファレンスは金曜日の午前中にあります。消化器は水曜日の夕方から外科との合同カンファレンスをしています。金曜日は病理、外科、内科でのカンファレンスがあります。金曜日のカンファレンスでは問題があったとまで言わなくても、先生方が悩んだ症例などを一症例ずつピックアップして、どうしたらさらに良くなったのかというのを今後に活かす意味で話し合っています。水曜日は病理や内視鏡の所見を皆で見て、その所見と病理が本当に妥当だったのかを検討したり、外科の先生も一緒に治療方針を考えています。それも勉強になります。
言い訳になりますが、姫路赤十字病院は女性の先生方が多いので、出産などをどうすべきか悩んでいるところもあります。今は内科専門医を3年間で取得するカリキュラムですが、もしかしたらその間に出産するかもしれないので、その期間が少し伸びるかもしれません。
妊娠されている先生も働いていらっしゃるので、そういう環境は整っていますし、私がもしそういう環境になっても、そんなに困らないかなとは思います。託児所も遅い時間まで預かってもらえるので、急いで子どもを迎えに行かなければならないこともないようです。消化器内科にもお子さんが小さいうちは週3日、カメラの仕事だけをする勤務形態の先生がいらっしゃるので、私自身も最終的にはそういう仕事の仕方もできるのかなと考えています。
部署や科ごとの壁が低く、一つの病院なのだと意識できる病院です。市中病院はそこまで大きくないので、医師同士はもちろん、病理の技師さん、薬剤師さん、栄養士さん、看護師さんといったコメディカルの方々ともすぐに直接、話ができるのが良いところです。医局が一つなので、他科の先生にも「すみません。こういう患者さんがいらっしゃるのですが、相談いいですか」とお願いしたり、走って外来に行って、お話を聞いていただくこともできる環境です。大学病院は何か相談するにしても、コンサルを出してくださいと言われたりすることが多いので、大きな違いを感じます。大学病院と市中病院の違いもあるし、姫路赤十字病院で働いている人の特徴でもあるのかなと思います。
3年目に新しいところに入るのは不安もあるでしょうが、姫路赤十字病院は3年目から来たとしても、色々な先生がすぐに名前を覚えてくださり、馴染みやすい病院です。困ったときはすぐに助けてもらえますよ。初期研修が当院だった人の方が多いのは確かですが、外から来てもすぐに同期と話ができるようになるので、是非いらしていただければと嬉しいです。
選択領域 | 希望サブスペシャリティ・腫瘍内科 |
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初期研修先 | 姫路赤十字病院 |
岡山大学の学外実習先に姫路赤十字病院があったんです。岡山市内は大学病院や大きな市中病院が乱立している少し特殊な地域ですが、私は岡山市出身で、ずっと岡山にいたので、少し外に出てみたいという軽い気持ちで姫路や福山の病院を回り、印象が良かったのが姫路赤十字病院でした。大学病院に比べると、やはりコメディカルの方々の雰囲気が違うので、こういう職場で働けると楽しいだろうなと感じました。実習で色々な先生とも話してみて、この病院なら、私のしたい研修ができると思いました。私は内科系志望だったので、内科の先生方がベテランの先生も若手の先生もとても親切にしてくださったことが決め手になりました。
同学年の研修医が14人いて、研修医室もあり、周りの人に相談がしやすい環境でしたので、とても楽しい2年間でした。最初は働く現場である病院自体に突然放り出された感じで、色々なミスもしました。そのうちにそれまで上っ面しか知らなかった病院の真相の部分が見えてきて、病院とはどういうところなのか、どういう機能があるのかなどを同期で共有できるようになっていきました。同期の研修医の中で私と同じく内科に残った人がもう一人いるので、心強いです。同僚には本当に恵まれました。初期研修では1カ月ごとのローテーションで回らせていただきながら経験することを目的にしていましたので、様々なことを学びました。初期研修ではできることが科によっては限られますが、最終的にしたいことは何かを掴むうえでは有意義な2年間でした。
先生方の中には「初期研修を経て、ほかの病院を経験してみたいと思うことはとても大事だ」と言われる方々もいらっしゃいましたので、一度は姫路赤十字病院を出て、違う病院に行くことも検討しました。しかし、仕事をしていくうえでどういうことが大事なのか、医師としてどういう仕事をしていくのが大事なのか、初期研修と後期研修では患者さんを診る視点も違うでしょうし、2年間過ごした環境が助けになるはずだと考え、当院に残ることにしました。長い医師人生の最初の何年間で色々な経験をすることは大事ですが、ほかの病院に移るとなると、その病院に慣れるまで時間がかかります。私はすぐに適応できるタイプではないので、どこかに移動するよりは当院に残り、どの病院でもある程度通用する能力を身につけてから外に出たいと思いました。
早い段階で内科に進もうと決めていました。少し興味を持っていた科を含め、色々な科をローテートしましたが、内科以外は適性がないと思ったんです。回ってみて、最終的に内科が一番良かったです。腹水や胸水を抜いたり、カメラを触ったりするのが楽しいですし、適性を考え、内科にしました。
腫瘍内科です。腫瘍内科の先生が姫路赤十字病院に一人おられるので、その先生の仕事ぶりを見て、こういう仕事ができたら楽しいだろうなと思いました。その先生はがんそのものを診ていますが、岡山大学第一内科ご出身で消化器の先生でもあるので、カメラをされている姿も見て、憧れました。私は一般内科のベースを固めたうえで何かしらの専門性を持ちたいと考えていました。その先生の姿から腫瘍内科に興味を持ちましたが、最近はゲノム治療の法整備や体制作りが進んでいるので、遺伝子の探索などの研究にも関心があります。腫瘍内科で残らせていただいていますが、その先生の顔の広さもあって、腫瘍内科の先生方との交流がある一方で、カメラや手技もしたいので、今の段階では決めかねているところです。ただ、姫路赤十字病院はそういうことを受け止めてくださるので、有り難いですね。初期研修から後期研修に移るにあたって、病院の環境は見学などである程度は知ることができますが、キャリアは人それぞれですから、そういう働き方を許してくれるのかどうかというのを含めて、実際に入ってみないと分からないことはあります。
腫瘍専門医は非常に難しい試験のようですが、これから薬や治療の開発によって高齢社会がますます進むと、団塊の世代の方々の死因は大部分が悪性新生物になりますので、腫瘍内科の需要は高まります。私も悪性腫瘍に興味がありますので、何か手助けしたいです。ただ、腫瘍を診るにしても、様々な技術やテクニックだったり、一人で診るのか、がんの化学療法だけを診るのかといった環境だったりが異なるので、キャリアアップのイメージが掴めていない以上は働き方を決めるのは難しいです。腫瘍内科は狭い世界ですが、全国に多くのがんセンターがありますし、これから色々な環境で経験を重ねながら方向性を決めていきたいです。
初期研修と全く違うのが責任です。患者さんの主治医になるわけですから、病気の診療そのものもそうですが、良くなった患者さんの状況を見て、どこに返せばいいのか、リハビリが必要ならリハビリの病院、在宅でも訪問看護師さんの助けが必要といったことを判断しないといけません。看護師さんからの助言もいただきますが、医師としての最終判断が必要です。細かいことですが、患者さんのその先を見ることが大事です。私も初期研修のときはそういうことも大事だと思いつつ、目の前の与えられた仕事をしていくことが多かったので、後期研修ではそういうところをしっかり考えるようにしないと、早く退院できる状態の患者さんでもなかなか退院できません。これが医師という仕事なのだと思います。
ほかの病院と同じように、3年のプログラムとなっています。1年目にローテートして、2年目に外の病院に出て、3年目に戻ってきて、自分の専門科をある程度定めたうえで、そこで1年やっていくという形ですね。後期研修1年目に自分の方向性を掴みたいと思っているので、がんで言えば連携施設は限られますし、症例集めも大変ですが、2年目は他病院を回りながら、自分の適性を掴んでいきたいです。3年目に当院に帰ってきたときに、どういう働き方をしていくのかという方向性を決めていければいいかなと考えています。
呼吸器内科です。今は気管支鏡検査や病棟の業務が中心です。呼吸器も状態が突然悪くなったり、生死に関わる病気が多いので、ハードですが、やはり楽しいところです。入院される方の肺がんの治療などをしていますが、それこそがんに関われる機会ですので、色々と勉強しています。私の直接の上級医の先生が勉強会やセミナーに顔が広いので、学会や勉強会をアナウンスしてくださるんです。これも当院のいいところですね。病棟の現場をある程度知ったうえで、勉強会などにも行かせてくださる病院なので、そういうところも楽しいです。
指導医の先生が消化器出身ということもあり、消化器に行かせていただきます。腫瘍内科をメインにして、血液、呼吸器、消化器の3つを回らせていただく予定です。消化器に関してはカメラの手技を勉強しつつ、長い医師人生の中の短い期間でしかないので、自分にカメラの手技の適性があるのかどうかを見極める期間として集中的に取り組むつもりです。
辛いことから先に言うと、今日の夜中3時頃に患者さんの容体が急変したということで呼び出しがありました。初期研修でもそういうことがなかったわけではありませんが、後期研修では自分の判断で目の前の患者さんがこの先どういう経過をたどっていくのかなど、初期研修で少しずつ勉強していたことを今度は自分の裁量でさせていただくので、それが患者さんの状態に影響してくることを実感することがあります。楽しいという言い方は不謹慎ですが、そういうところが楽しくも、辛くもあります。
自分一人で抱えきれるものではないので、やはり上級医の先生に何でもフランクに相談しています。自分でも調べますが、指導医の先生に相談して、軌道修正していただくこともあり、それができる環境が当院のいいところです。
指導医の先生は質問すれば、本当に何でも教えてくださいます。先生方の指導は勉強になることばかりです。ただ、聞く前に自分で勉強しないといけないと思っています。勉強したうえで質問すると、話が広がります。大勢の先生がいらっしゃるので、指導の仕方もそれぞれ違いますが、教えてもらう側の姿勢は大事ですね。
赤十字病院の慈愛の精神と言いますか、看護師さんは熱心に働いていらっしゃいますが、それだけではなく、患者さんの気持ちに寄り添い、細かなことにも気づいてくださいます。薬剤師さん、作業療法士さん、理学療法士さんといったコメディカルの方々も懇切丁寧に記録を書いてくださり、その都度ご相談いただいています。こちらが相談しても、色々と教えてくださるし、親切な方が多いという印象です。
科ごとに総回診やカンファレンスがありますが、月曜日には内科全体のカンファレンスを必ずしています。初期研修医が症例提示をして議論するというものですが、指導医の先生がお話しされるので、勉強になる症例ばかりですし、楽しい場になっています。呼吸器内科は火曜日がカメラの日なのですが、その週の症例について、初期研修医と一緒にCTやレントゲンの画像を読んで、こういう影があったらこういう鑑別が上がる、明日こういう検査をしようなどと勉強しています。私は初期研修も当院でしたので、膠原病や血液内科、腫瘍内科などのカンファレンスも経験していましたし、勉強させていただく機会が多い病院です。
昔からの長い歴史のある病院で、高齢の方はよくご存じですし、「日赤さんをすごく頼りにしてるよ」とよく言われます。それだけ実績や信頼を積み重ねてきた病院なのだということを当院に入ってからひしひしと感じました。信頼を積み上げるのは難しいですが、崩すときは些細なことから崩れていきます。私が信頼を積み重ねていくことができるかどうかは分からないですが、できるだけ信頼を崩さないように、しっかり責任を持ってやっていけたらいいなと考えています。
他科を知らないので、内科に限ったことですが、この病院の後期研修医や上の先生方を見ていると、下を向いて働いているような人はいません。大きな遣り甲斐を感じて仕事ができているように見えますね。地元が姫路だから、内科は岡山大学の関連病院だからというキャリアの選択もあるかもしれませんが、当院は地域がん診療連携拠点病院の高度型に指定されていますので、がん治療に関してはほかの病院ではできないことができます。西播磨全体から救急の搬送も多く、急性期の治療経験も積めますし、血液内科には非常に稀な症例が来るなど、情報集積では大学病院に負けない環境です。キャリアを形成するうえでの一つのステップとして、決して外れたことをしている病院ではありません。私も初期研修、後期研修と経験してきましたし、胸を張ってお勧めできる病院だと思っています。