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卒業式 「学校長式辞」

本日はご卒業誠におめでとうございます。

卒業式はビデオでご家族、保護者の方々が見られると聞いております。

保護者の皆様「ご子息・ご息女が卒業を迎えられました事、誠におめでとうございます。」

ちょうど1年前の3月5日姫路市でも新型コロナウイルス感染症患者さんが初めて確認されました。そして姫路赤十字病院は地域で初めての患者を受け入れました。

その日から病院も、そして看護専門学校での生活もがらりと変わりました。今まで想像もつかない生活が始まったともいえます。「三密を避ける」のもと、看護専門学校での学習のあり方も一変しました。

本来看護は患者に寄り添うことを基本としますが、コロナではそれが出来ません。

一同に会せず学習を進めていくことが求められました。座学はオンラインとなり、実習は医療シミュレーターが主体となりました。臨地実習は制限のある中での学習となり、例年とは全く異なったものになってしまいました。

これらの矢面に立ったのが、本日卒業していく君達です。 卒業生も大変だったと思いますが、それと同じぐらい教育に携わった教師をはじめ多くの関係者の方々も大変苦労をしてくださいました。

お互いが苦労、工夫を積み重ねることにより、卒業式を迎えることが出来ました。改めてもう一度「卒業おめでとう。ご苦労様でした」とお祝いの言葉を申し上げます。

それとともに卒業まで導いてくださった保護者の皆様、教職員、関係方々に感謝の念を持ってください。

今後、皆様のほとんどの方は看護師として社会人の一人となります。新型コロナウイルス感染症を経験したことはネガティブなことばかりではありません。

新たな感染症に対して社会はどの様に対応したか。結果どの様であったかを実際に経験し、目の当たりにしました。コロナはまだまだ収束の目処は立っておりません。

さらにアフターコロナは以前の社会とは全く異なるものになると考えられます。社会の転換期に私たちはあります。このような体験を出来るのは今の時代に生きている人たちのみです。

これからの社会を作るのは、コロナを経験した君たちが中心となることは間違いありません。今経験していることを生かして、新しい時代を切り開いてほしいと思います。

このようなチャンスはまたとありません。

同じことが医療の世界でも起こると考えます。私たち医療従事者にとって一生の間ほとんど経験することのない貴重な事態の真只中にいるとも言えます。

かの看護師の祖と言われるフローレンス・ナイチンゲールは統計に基づく医療衛生改革でも有名です。

クリミア戦争の悲惨さを客観的に観察し、病院内の不衛生など、蔓延する感染症対策に重きを置き、従軍兵の死亡率の低下に貢献しています。

現在進行中の新型コロナに関して、公衆衛生の問題、危機管理の問題、政治的な問題、経済的な問題も含めて客観的に観察して、どの様な対策がベターなのか、ベストなのかを、政府を中心に行動をしていますし、私たちの病院も日々対策を練っているのが現状です。

何が正しかったか、何が間違っていたかを今後検証することになるかと思います。これから看護師となる皆様も、現実に起こっていることをしっかりと見届けることが重要です。

もう一度言いますが、この様な経験はまたと無いものと自覚すべきと思います。これからの人生の中できっと役に立たせていただきたいと思います。

挨拶の最後としまして、赤十字のことについて触れたいと思います。

卒業生の皆様は、3年前に看護の道を目指して姫路赤十字看護専門学校に入学されました。入学試験のときの面接時のことを思い起こしてください。

多くの方が漠然とした赤十字の精神について語られたと思います。入学してからこれまでに赤十字についての講義も受け、実践もされてきました。

看護職は赤十字の精神に通じるところが多々あり、「いかなる状況下でも、人間の命と健康、尊厳を守る」という赤十字の精神をしっかりと学ばれました。

ナイチンゲール記章受章を7人も輩出したすばらしい赤十字看護専門学校で学んだことを誇りに思ってください。

特に本日皆様が着用している制服には、赤十字の誇り、先輩たちの想いが込められています。この想いをいつまでも持ち続けていただくことを願います。

皆様はほとんどの方が看護師として旅立ちます。本日の卒業式の意義をしっかりと胸に、真の社会人、看護師としての研鑽を続けていかれることを期待して、学校長としての挨拶とします。

本日はご卒業誠におめでとうございます。 

令和3年3月5日 姫路赤十字看護専門学校 学校長 佐藤 四三