入学式「学校長式辞」
2023.04.06
新入学生の皆様、ご入学誠におめでとうございます。心から歓迎いたします。また保護者の方々もさぞお喜びのことと思います。お祝いを申し上げます。
通常であれば在校生もこの会場に集合し、もっと賑やかに入学式を執り行うのでありますが、コロナ禍の状況下ですので安全を第一と考え、在校生は学校からweb参加してもらっています。
また本日は年度初めの大変な時期にもかかわらず姫路市、医師会、看護協会、自治会、民生の方、そして赤十字関係各位の、8名のご来賓の方々にご列席いただいています。誠に有難うございます。学生・職員を代表してお礼申し上げます。
さて、本校は明治42年創立の100年を越す歴史ある看護専門学校です。卒業生のみなさんは国内外で幅広く活躍されています。本日来賓としてお越しの3名の各赤十字病院の看護部長さんもみなさんの先輩です。また看護師として世界最高の栄誉であるナイチンゲール記章を受賞された方を本校から7名輩出しています。そして身近なこととしては看護師国家試験では今回も含め16年連続全員合格を果たしています。
みなさんはこれから看護師を目指して学ぶことになりますが、まず赤十字社の看護専門学校で学ぶという自覚を持っていただきたいと思います。
赤十字には最も大切にしている理念があります。人の道と書いて「人道」です。本校ではこの理念のもとに、みなさんが活動できるように育成しています。
病気や障害、災害などに遭遇した人たちの苦しみを和らげ、どのような状況にあっても人間の命と健康と尊厳を守るために行動しようと努力し続けること、それが赤十字の「人道」の理念です。
学校生活の中でこの事を学んでいただければと思います。
この人道の考え方は、皆様のこれからの人生の中で、特に看護師として仕事をする上で如何に大切であるかきっと理解する時がくると思います。
また、赤十字の大きな使命として国内外の災害救護があります。これまでも阪神淡路大震災、東日本大震災、そして4年前の中国地方の豪雨災害時に姫路赤十字病院の救護班も現地に赴きました。
国際救援も同様です。みなさんの先輩である当院の看護師が交代で派遣されています。今回のトルコ・シリア大地震の支援にも近日中にシリアへの派遣が決まっています。
さて、ナイチンゲールの言葉に次のようなものがあります。
看護師は自分の仕事に三重の関心を持たなければならない。
一つは患者さんの看護と治療についての技術的な関心、次はその症例に対する理性的な関心、もう一つは患者さんに対する心のこもった関心
この中で、みなさんは学生生活において、まず理性的な関心を強く持って、医学、医療、看護,保健についてこれからしっかりと学んでください。
技術的な関心、患者さんへの心のこもった関心については実習である程度関わりますが、限られたチャンスを有効に生かしてください。
ただ、学生時代にはどうするか?心のこもった看護をしようと思えば、
患者さんの声を聴き、受け答えをするコミュニケーションが大事です。また、現在の高度の医療は医師だけ、看護師だけでできるものではありません。様々な職種の人が関わり、その得意とするところを十分に発揮して行うチーム医療が主体です。そして、それぞれを結びつけるには十分なコミュニケーションが必要です。
元々コミュニケーション力の優れた方はいらっしゃいます。そういう方はさらに磨きをかけていただきたいと思いますし、もうひとつ苦手という方はしっかりと身につけていただきたいと思います。身につけると言ってもなかなか性格は変えられるものではなく、また何か特別なことをするというのではありませんが、看護師になるに当たって必要なことなんだという意識を持って日々行動してください。
まずは、今日出会ったクラスメートたち、初めて顔を合わせた人たちが多いのではないかと思います。この出会いも人生において一つの縁というか運命的なものです。
これから友達になって親しくなって、楽しいこと、勉強のことで助け合ったり、苦労を分かち合う間柄になっていくわけです。この出会いを大事にして友情を育んでいってください。
さらに、この関係は学生生活3年間だけではないことが多いです。みなさんのうち約8~9割の人たちが隣の姫路赤十字病院に就職します。今のクラスメートとの友達関係は看護師になってからも続くことになります。先輩のクラス、将来的には後輩のクラスも同様です。いわゆる同じ釜の飯を食った間柄というのは強い絆で結ばれていくものです。学生時代からの知り合いというのは将来的にも非常に心強い心の支えになるものです。学生の本文である勉強は言うまでもありませんが、支え合える友達を作って、そしてその関係を大事にしてください。
皆さんの年頃は多感で色々な悩みを抱えることもあるかもしれません。そういう時は一人で抱えこまずに友達に相談してください。そしてどうしても困った場合には遠慮なく先生に相談してください。副学校長はじめ先生方、事務スタッフの方々は、みなさん親身になってあなた方のことを考えてくださいます。どうぞ頼りにしてください。
3年続いているこのコロナ禍、以前はオンライン授業だけという時期もありましたが、今は普通に対面で授業しますし、各種学校行事も次々と再開しています。
5月8日にはII類感染症からインフルエンザなみのV類に移行しますが、感染力が低下したわけではありません。世間一般の体制、考え方は変わると思いますが、本校は病院内にある学校ですので、一線を画さなければなりません。学校ではマスクは外せませんし、引き続き油断なく生活しなくてはなりません。ただ、それをnegativeに捉えるだけでは非常にもったいないです。みなさんの一生のうちでの貴重な青春時代です。
学校の勉強はもちろんですが、色々興味を持ったものに取り組んでください。
勉強も高校生までの与えられたものばかりでなく、みなさんが将来的に医療人としてどのようなことを知って、どのように対応していけば良いのかを日本の動き、世界の情勢などを見据えて、自分で考える習慣をつけて欲しいと思います。
本校での生活が人生において掛け替えのないものになることを願いご挨拶とさせていただきます。
本日は本当におめでとうございます。
令和5年4月5日
学校長 岡田 裕之