今月のドクター

 姫路日赤に参りまして20年を迎えました。その間、地域の先生方とたくさんの患者さんに支えていただいて今日まで診療を続けることができております。本日は皆様への日頃の感謝の気持ちをお伝えさせていただきます。
 20年も定点で診療をしておりますと、消化器の病気の様相が変化してきていることを感じます。姫路日赤勤務の最初の十年ほどは、とにかく内視鏡止血に忙殺されているような日々で、膵臓病の患者さんに外来でお会いすることもそんなに多くはありませんでした。その後消化器内科のメンバーが増え、7-8年前からは診療の中心を胆膵疾患に据えることができるようになり、胆道結石採石や胆道ドレナージといったERCP処置の症例が増加してきました。最近は膵腫瘍に対する超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA/B)の件数が増え、これに伴いここ数年は年間90人前後の膵がん患者さんが当院で診断・治療を受けられるに至っています。また、膵がん患者さんの予後を向上させるためには早期発見が重要であるため「膵がん検診」を播磨地域で初めて開始しました。
 また、当院では本年2月から神経内分泌腫瘍に対する全く新しい放射線内照射治療(PRRT:ペプチド受容体核医学内用療法)を開始しました。この治療法は限られた施設でのみ行われており、当院は全国で55番目、兵庫県では4番目の実施施設です。勿論兵庫県西部では初の取り組みです。私はこの治療の院内実施の責任者として準備を行いました。その中で当院のスタッフメンバーの団結力と底力の強さにふれ、これこそが姫路赤十字病院の宝であると改めて実感いたしました。
 現在、膵胆疾患や特殊腫瘍の診療が中心になっておりますが、消化器全般(消化管・肝臓・胆道・膵臓)を領域の区別無しに、患者さんが最も利益を得られるように工夫して診させていただくのを、私自身変わらぬ診療のスタイルとして続けております。これからも引き続きよろしくお願い申し上げます。

第一消化器科 部長 髙谷 昌宏

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