院長徒然日記

院長徒然日記

No.219 AI時代の看護師

 姫路赤十字看護専門学校の戴帽式を施行しました。例年ですと多くの来賓の方々、先輩の看護師、学生、そして教師全員が祝福する中で戴帽式が執り行われます。現在新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は発令されていませんが、まだまだ収束の状態ではありません。そのため昨年に続き今年も、参加する人を大幅に制限して執り行いました。式典の様子はビデオ撮影して、後日関係者に観ていただくことにしました。

 戴帽式は、看護師にふさわしいと認められた学生に、看護師のいわばシンボルであるナースキャップを授ける儀式です。最近では戴帽式を簡略化したり、行わない施設も増えていると聞き及びますが、看護師になるに当たり、とても大切な通過点の一つであると私は考えます。少なくとも私たちはこれまでの伝統を守り、厳かな雰囲気を醸しだす式典をいつまでも続けていきたいと考えており、コロナ禍の中でも欠かすことなく開催を決めました。更に現場の看護師も日常では着用していないキャップを本日は特別に着用して学生達を祝福してくれています。

 学校長として、戴帽式にあたり例年学生たちに言葉を送っています。今年はAI(人工知能)時代の医療スタッフについて書かれたエッセイから、看護師に触れた部分を要約して話をいたしました。

 【AI時代、医療スタッフに求められる2つの『力』があります。その力とは『共感する力』と『考える力』です。その2つはAIには取って代われない力です。共感する力とは、人の機微を感じ、相手の身になってものを見る力で、これは看護師になる基本教育の中で身につけることが出来、今後君たちが得意とする能力になると思います。この共感する力を磨くには、既に発揮している先輩たちの中で共に働き、吸収し、お互いに切磋琢磨することにより自然に磨かれます。
 もう一つの考える力についてです。これからの時代、先人たちが築いたレール(言い換えるとマニュアル)の上を歩くことは大切ですが、この基盤の基に物事を主体的に考える能力も求められます。これは難しい事ではなく、看護師は普段から患者さんに寄り添っています。患者さんが困っていることを、どのようにすれば喜んでもらえるか、安心していただけるか、満足していただけるか常に考え行動しています。看護師の得意とする能力といえます。
 この2つの力『共感する力』と『考える力』は君たちが今後の成長過程で獲得する能力です。極端に言えば、医療従事者の中で将来生き残るのは医師よりも看護師と言えるかもしれません。なぜなら、臨床医が行う分析はAIに代わられる可能性があるけれど、看護師の人に寄り添う気遣いはAIのロボットには絶対できないからです。】

 「研鑽してください。」で締めくくりました。

 戴帽式を迎えた学生たちが学校を卒業し、看護師として社会に出る姿が楽しみです。

2021年 10月 29日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三