院長徒然日記

院長徒然日記

No.216 他者を知る

 『知人者智、自知者明』(人を知るものは智なり、自ら知るものは明なり)

 これは老子の言葉ですが、この意味するところのほんの一部理解し、実践に活かす術をこの歳にしておぼろげに描けるまでに成長したと自負しています。 これから述べることは、あくまでわたしの経験からの感想であると認識してください。自分も含めて多くの医師は受験勉強に明け暮れて、医学部に進学し、そして医師として現場で仕事をしています。人は、係わる多くの人やあらゆる事象から得られる経験を基に人間的に成長しています。経験する事柄とどれだけ広く、深く係わったかが成長の幅に大きく影響します。この点で医師は比較的限られた枠内で生きています(当然そうでない者もいることも事実です)。

 わたしは医師として45年経過し、この内35年を姫路赤十字病院で過ごしてきました。院長になるまではその殆どを外科医として診療に専念していました。いわば他の病院の実態は殆ど知ることはありませんでした。外部を知るといえば、医学会に出席してその範囲での関わりであり極めて限られたものでした。

 院長就任後はある意味世間が広がったと実感する事がしばしばでした。病院長になることで多くの会合に参加し、他の病院長と直接会話でき多くの知識が得られ、他施設の実情を知ることが出来ます。病院マネジメント関係の学会に参加することで、組織の取り組みについて知ることが出来ます。病院関係以外で最も影響が大きかったのはロータリークラブの一員に加えていただいたことです。姫路市の様々な業界の経営者と面識を得ることにより、他業種のトップマネージャーの考え方を直に聞くことにより人として大きく成長することが出来ました。また行政の人と面識を得ることで、社会を動かすルールなどを勉強することが出来ました。その他様々な人と出会う機会が増え、例えば身の回りでは自治会長がどのような仕事をされているかもこれまでは知る由もないことを知ることも出来ました。

 他者を知り、この知識を自分たちにどのように活かすかはさらに大切なことです。そのためには自分を客観的に知ることが重要となります。良いところはさらにより良く発展させ、劣っているところは素直に認め、いかに改善するかに努めることです。他者にあり、自分にない良いところは積極的に取り入れ、他者の悪い点は反面教師にすることです。 職員それぞれが、自らを知り、チャンスがあれば他者を積極的に知ればおのずと成長し、組織は継続します。

2021年 8月 10日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三