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北欧の夏至祭

21世紀を迎えた年にデンマークとスウェーデンに「高齢者看護」の視察に行く機会に恵まれました。到着した日はちょうど夏至祭の日でした。「21時になったら出かけますよ」と言われ、ホテルから近い湖畔に行きました。陽気な唄を歌いながら、海や川に浮かべた山のような薪とその天辺に縛り付けた等身大の魔女に、火を焚き付けて、魔女が業火に焼かれて苦しんでいるその様を眺めて楽しむ祭りです。多くの人々が湖のボート上あるいは湖畔から家族や友人とワインやビールとチーズなどのおつまみを楽しみながら時間を過ごしていました。6月23日この季節のデンマークは22時くらいにやっと夕焼けとなり、それが何時間も続くような白夜のような時期です。

ゆったりした時間の流れ、夕焼けの美しさ、カルチャーショックを受けるような北欧独特の残酷な魔女狩り風景のなか、薄暗くなる真夜中までおしゃべりを楽しむのですね。

Sankthansaften(サンクトハンス・アフテン)と言われ、「聖ハンスイブ」という意味になります。デンマークでは6月24日が「聖ハンス(洗礼者ヨハネ)の日」(Sankthansdag)であるので、その前日の6月23日の夜が聖ハンスの日のイブになります。この記念すべき日である聖ハンスイブに魔女を焚き上げる理由は「魔」を遠ざけることにあります。

 

 北欧の民間信仰によると、デンマークではヴァイキングの時代から、夏至の日の夜に「魔」が活発になると信じられてきました。それが発展して、魔女狩りの時代である1600~1800年代ごろに、ドイツのブロッケン山で夏至の日に魔女が会議を開くと考えられるようになりました。そして、その魔女が山から町に来るのを防ぐために、夏至の日に魔女を燃やす習慣ができたとされています。また、もっと幅広く捉えると、「魔」の象徴である魔女を燃やすことで悪霊などの「魔」全般(日本で言う厄や災難)を追い払い、夏や秋の収穫を祈念するための儀式でもあると考えられているそうです。

この時期、ノースリーブの人もいれば、レザージャケットで過ごす人もいるような湿気がない束の間の夏を迎えている北欧、あたかも夏の楽しみがぎゅっと凝縮されている感じになるんですね。一年で一番美しいときが体感できる贅沢な時間を過ごすことができました。世界にはいろいろな風習やしきたりがあり、姫路の空からは見えない世界がたくさんありますね。

明日へ続きます。

 

追伸

そして今回は、夏至の日に見られる部分日食です。北半球では太陽高度が一番高く(東京・約78度)、日本全国で見られるようです。国立天文台やNASAのデータを調べた限りでは、1648年(慶安元年 徳川家光が将軍の頃)以降、日本で夏至の日に日食が起こったことはないそうです。

 

太陽の欠ける割合は南ほど大きく、東京では約3分の1が欠ける。日食の開始は16時頃からで、最も欠ける時間帯は17時頃の予想です。

 

観測時には、以下のことに注意してください。

・日食専用のグラスや遮光板を使う

・ピンホールを利用する

・専用の道具をつけた望遠鏡で観察する

絶対に肉眼や下敷き・サングラスなどで見ないよう気をつけて楽しんでください。