今月のドクター

 2002年9月に当院に赴任して18年弱ですが、麻酔科医になってからは37年が過ぎました。医療だけでなく社会のどの分野もそうですが、この間の麻酔科学の進歩もめざましく、37年前に行っていた麻酔管理と現在のそれとは隔世の感があります。当時、血液の酸素化は血の色をみて、肺の状態は胸の動きと呼吸音で判断していました。人工呼吸器は手術室に数台しかなく、全身麻酔中の人工呼吸の多くはバッグによる手もみでした。

 現在は、心臓の動きや呼吸機能の評価、麻酔に使用する各薬剤が適切に効果を発揮しているかなど、テクノロジーによるモニターの進歩は特に著しく、それをデジタルデータで表示しアラームをかけることにより、麻酔の安全性は格段に向上しました。今後起こるパラダイムシフトは、AIが医療の分野にも急速に導入されることによる、安全性や確実性のさらなる向上と、長期的な予後の改善だろうと思います。わたくし自身は現在では希少な“ガラケー”ユーザーで、クラシカルな丸眼鏡と万年筆を愛するアナログ人間であり、優秀な麻酔科スタッフやコメディカルそして事務職員に支えられて今の私があります。

 平成天皇が好きな言葉であるとお話になられた「忠恕(自己の良心に忠実で、人の心を自分のことのように思いやる精神)」を座右の銘として、心の中で自分自身に “ちゅうじょちゅうじょ”とささやきながら、これからも日々の業務に取り組みたいと思います。

今後もご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

院長補佐兼麻酔科部長兼手術室長 倉迫 敏明

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