災害救護・国際活動

平成29年-30年 バングラデシュ南部避難民※1救援派遣

2017年8月下旬から、ミャンマー南部のラカイン州では歴史的、政治的、民族的な背景から対立が激化し、悲惨な暴力行為が行われ、多くの人々がバングラデシュ南部に逃れて来ています。

着の身着のまま徒歩や小舟での避難し、避難民キャンプでの先の見えない不自由な生活を強いられている避難民たちは、故郷で国籍を認めてもらえず基本的な医療や教育などを受けることが難しかった人が多く、健康を脅かすいくつもの苦難と向き合っています。

避難キャンプでは森を切り開いた丘陵地帯に、見渡す限り竹と防水シートでできたテントが隙間なく立ち並んでいます。急激な避難民の流入により、急いで土地を造成したため、道路や上下水道などのインフラの整備も追いついていません。基本的な予防接種を受けられていないうえに栄養失調が重なり、衛生的な生活環境に欠かせない清潔な水やトイレが不足するという厳しい状況です。

避難民の数は今もなお増加しており、その数は68万8千人に上ります(1月27日国連発表)。

日本赤十字社の派遣したERU※2は、ミャンマーと国境を接するバングラデシュ南部・コックスバザール県のハキムパラやバルカリ地区で命と健康を守るために3本の柱で活動をしました。①保健医療活動 ②母子保健活動 ③心理社会的支援(心のケア)です。

すべての活動において地元バングラデシュ赤新月社の医療・事務スタッフおよび避難民の現地スタッフと共に行い、今後も現地のスタッフで維持継続できるように、知識・技術の共有を積み重ねました

津田係長 第1班

避難民キャンプの様子

第1班として9月26日より派遣された津田係長は、こころのケア(PSS:心理社会的援助プログラム)の立ち上げに尽力しました。

巡回地に、「子供が安心して過ごせる場所」としてCFS(Child Friendly Space)と呼ばれるスペースを設置し、レクリエーションを提供しながら子どもたちに防犯や衛生などの教育を施しました。また男女の別が厳しいイスラム教徒の大人たちのために、同性同士が安心して話し合える機会を作りました。

髙原副部長 第3班

70人のバングラディシュ赤新月社スタッフとローカルスタッフ

高原副部長は11月22日より3班のチームリーダーとして派遣され、他の支援団体や国際組織との調整、各国大使館への支援の交渉などを行いました

現地では12月半ばからジフテリア※3の流行が見られました。対策によりピークは過ぎたものの、まだ予断を許さない状況です。もともと故郷で治療はもちろん予防接種などの医療を受けられなかった人々で、はしかやポリオなど他の感染症が大流行する危険は残っています。

また、コレラなど下痢性疾患の発生を見据えてバルカリ地区に仮設診療所を建設しました。コンクリート張りの床と排水施設をもうけ、汚物の消毒をしやすい構造になっています。

津田係長が立ち上げたPSSは順調に機能し、制限のあるなかでも「刺繍やミシンを教え合いたい」「子どもたちに凧を作りたい」と、自らの力で前向きに動き出す避難民もでてきていました。

避難民たちの帰国交渉が行われていますが、今後の予想は全くつきません。過酷な環境下での先の見えない暮らしが続き、彼らの心身ともに大きな負担となってのしかかっています。

皆さまからのあたたかいご支援は、彼らがそのような状況から立ち上がる力に繋がります。活動を継続できるよう、引き続き温かいご支援をお願いします。

ご支援をお願いいたします日本赤十字社のページに飛びます

バングラデシュ南部避難民支援 -生きてほしい!―

http://www.jrc.or.jp/activity/international/results/180104_005041.html

  • ※1バングラデシュ南部避難民:国際赤十字では、政治的・民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、『ロヒンギャ』という表現を使用しないこととしています。
  • ※2ERU(Emergency Response Unit):緊急事態・大規模災害発生時に備え、いつでも出動可能な専門家と、すぐに医療や給水衛生活動などが開始できる資機材をセットにしたチームです。http://www.jrc.or.jp/activity/international/about/saigai/
  • ※3ジフテリア:ジフテリア菌により発生する病気。主に喉や鼻の粘膜に感染し、喉が腫れたり気道に膜のようなものが張り付いて窒息を起こしたり、毒素により心不全や呼吸困難を引き起こします。日本国内では20年近く発症報告はありませんが、かつては猛威を振るい、今も子どもに接種するワクチンの対象になっています。

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