乳腺外科

肥満と乳癌

皆さんはBMIってご存知ですか。Body Mass Indexの略なのですが、要するに体脂肪率などの“肥満度”を表す指数です。今ではインターネット上で、ご自分の身長と体重を入力するだけで簡単に計算できるので、ぜひ計算してみてください(http://www.health.ne.jp/check/bmi.html)。内臓脂肪が考慮されず、低体重で高体脂肪率のいわゆる隠れ肥満がわからないなど、問題はありますが、計算だけで導き出されるので、世界中でよくつかわれています。  さて今年のアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)で、この肥満と乳癌にまつわる怖い話が発表されました。BMIは大体18から25くらいで正常ですが、これが30以上の方では、再発率も高くなり、死亡する確率もあがるというものです。もともと乳がんと肥満は関係が指摘されていましたが、治療後に太ってしまうと怖いことが起こりそうです。

◆BMI

BMIはBody Mass Indexの略です。体重がA kg、身長が B m (cmではないですよ!)の場合、A/ B×Bであらわされます。たとえば体重が60kg、身長が150cmの方では60/1.5×1.5=26になります。BMIの計算式は世界共通です。でも肥満の判定基準は国により異なっていて、日本肥満学会では、BMI22の場合を標準体重としています。25以上の場合を肥満、18.5未満である場合を低体重としていますので、先に述べた方は肥満です。

◆肥満と乳癌

2011年、まさに今年のアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)でJanni JW先生が発表された内容は、このBMIと乳癌の予後(治療成績)にかかわるものです。BMI 18.5以下のやせた人13名、18.5から25の正常な方557名、25から30の太り気味な方491名、そして30以上の肥満の方300名を集めて検討されました。

再発に関して検討したところ、はっきりした差が認められたため、大変話題になりました。
報告のグラフから、術後48カ月、つまり4年のところで検討してみました。少し太り気味の方と比べて5%以上の差がありそうです。つまりBMIが30を超えている人では、5%増しで再発するということが分かりました。

さらに次に死亡率で検討します。
するとやはり太り気味程度なら差がなくても、BMIが30を超えてしまうと、やはり5%以上の差が付いていました。BMIが30を超える方では、より乳がんが再発しやすく、そしてなくなってしまう確率も高い。原因に関してはこれからですが、いろいろなことが考えられそうです。同じお薬を使っても微妙に少ない、あるいは効きにくい。脂肪で産生される女性ホルモン量が関与している、などです。ただ、これはまだ分かっていません。

◆足し算引き算

ガンの患者さんは、治療が終わると不安に駆られるあまりに、いろいろなサプリメントに興味をもたれる方が多いようです。いろいろなものを飲んだり、食べたり、されている方も多いようですが、こうした栄養食品も“食品”ですから、“摂取”していることは変わりありません。 たしかにこうしたサプリメントのカロリーは問題ないのかもしれませんが、検査にしても、栄養にしても、お薬にしても、常に“足し算”で治療を考えているように思います。“引き算”で行なう健康管理もあっていいのかもしれません。 ただ、こうした話題を出すと、皆さんはすぐにダイエットを思い浮かべられるようですが、むしろ運動を意識していないと、すぐにリバウンドが待っています。代謝をあげておかないと、食べない動かないではすぐに体の新陳代謝が落ちてしまうので、またしっかり食べるようになったときに、エネルギーが燃えることなく、あっという間に身についてしまうのです。 乳癌をされたら、まず体重管理から始めましょう。 なにより、こうしてきちんとデータが出ている事実を無視して、データのないサプリメントを始めても、まず皆さんが思うような劇的な効果は期待できません。

いくらお金があったとしても、楽して健康を手に入れる方法はない、と肝に刻みましょう。