呼吸器外科

診療内容

当科の代表的な手術方法(※以下の術式は病気の進行度によっては全ての症例で行えるものではなく、個々の適応については診察時にご相談の上ご確認ください)

当科の代表的な術式

① 完全 きょう 胸腔鏡手術による肺がん手術

肺がんに対する胸腔鏡手術は「一番大きなキズが8センチ以下で肋骨を切らないもの」とされ、実際は病院によって様々です。当院では比較的早期の肺がんに対しては、2〜3センチの3つの穴で行う「完全鏡視下胸腔鏡手術」を行っています。十分な経験を有する呼吸器外科専門により、安全でがんの根治性を落とさないように細心の注意を払い、術後の回復が早い傾向にあるこの手術に取り組んでいます。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科 HPより。 http://www.nigeka-okayama-u.jp/chest/medical/medical002/

術者と助手がそれぞれのモニターを見ながら手術をしています

② 3-Dシミュレーターを用いた縮小手術

肺は右肺が3つ、左肺が2つの「肺葉」に分かれています。肺がんの「根治的手術」はがんが出来た肺葉をまるごと切り取る「葉切除」が基本です。しかし高齢の患者さんやCOPD(肺気腫)などで肺の働きが弱った患者さんでは、正常な肺も失う手術は術後の生活に負担になる場合もあります。またCTで見つかったごく早期の肺がんや小型の肺がんの場合は「葉切除」を行わなくても根治性が保てる場合もあります。このような患者さんに対しては葉切除よりも小さな単位で肺を切除する「区域切除」を行います。

一方で区域切除は肺葉の中を切り進んでいくために、上手に行わないと残すべき肺や血管を傷つけかねない難しい手術です。当院では撮影したCT画像から肺の動脈、静脈、気管支を立体的に色分けして映し出す3-Dシミュレーターを使って、肺の中の様子を手術の前に確認して安全で正確な区域切除が行っています。

小型腫瘍に対する区域切除のシミュレーションの図

③ 痛みとキズの少ない自然気胸の手術

まわりを 肋骨 ろっこつ (あばら骨)で囲まれている肺の手術は、肋骨のすき間= 肋間 ろっかん にあけた小さな穴から道具を入れて行います。しかし、いくら小さな穴でも痛みに敏感な肋間神経がそばを走っているため、特に若い患者さんは痛みを強く感じます。この痛みとの戦いは呼吸器外科医にとって大きな問題です。そこで当科では通常3つの穴で行う手術を2つに減らす「同一肋間2孔式手術」を考案し、さらに傍脊椎神経ブロックという痛み止めを使うことで、自然気胸の手術の品質も落とすことなく、直後の痛みが従来より軽く済む結果を得ていることを報告しています。また術後に抜糸のために来院いただくことも不要です。この手術方法は肺部分切除や膿胸の手術にも応用しています。

肋骨が斜めになっていることを利用して、同じ肋間から操作することで痛みを減らします。

④ 縦隔腫瘍に対する痛みが少なくキズが目立たない剣状突起下アプローチ胸腔鏡手術

左右の肺の間は「 縦隔 じゅうかく 」と呼ばれる部分です。正確には縦隔という臓器はありませんが、この部分には若い人も含めて腫瘍ができることがあります。転移をしない良性腫瘍が多いものの、手術で摘出する必要があることが多いです。胸腺腫に代表されるような縦隔の前側にできた腫瘍は、昔から心臓の手術のように「胸骨」を縦に切って腫瘍を取り出すのが基本ですが、胸腔鏡の進歩により左右の肋間からカメラを入れて手術をすることも増えてキズが小さく目立たなくなってきました。さらに当院では胸骨の下の端にある「 剣状 けんじょう 突起 とっき 」の下から胸腔鏡を入れて、胸骨を切らず、また痛みが出やすい肋間のキズを少なめにする剣状突起 アプローチを行っています。

剣状突起下アプローチを用いたデュアルポート胸腺摘出術“Dual-port thymectomy using subxiphoid approach” S Takashi et al。 (Division of Cardiothoracic Surgery、 Fujita Health University School of Medicine)、 General Thoracic and Cardiovascular Surgery 62巻9号 Page570-572より引用
⑤ ロボット手術

2018年4月から一定の条件下で肺がんや縦隔腫瘍に対するロボット手術が保険適応になりました。当院は既に泌尿器科がロボット手術を導入しており、呼吸器外科でもロボット手術実施に必要な資格の取得を行っています。

手術数

2016年4月に当科は開設しましたが、2018年から呼吸器外科専門医合同委員会の修練施設に認定されました。年度毎(4月~3月)の手術症例数は以下の通りです。

2016年度 2017年度 2018年度(4-11月)
肺悪性腫瘍 67 71 62
縦隔腫瘍 5 6 7
肺良性腫瘍 2 7 5
自然気胸 18 18 17
膿胸 1 2 10
その他 2 2 6
合計 94 106 107

日本胸部外科学会学術調査及びNCD(National Clinical Database)登録症例より。

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