院長徒然日記

院長徒然日記

No.148 “継続”と“評判”


わたしたちの病院は明治41年(1908年)に創立しました。病院ホームページの挨拶でも紹介していますが、今年で創立110年を迎えています。老舗企業、老舗旅館といった言葉を耳にしますが、わたしたちの病院も“老舗”の一つに加えてもらってもよいのかなと自負するところです。伝統を守り続け、奥ゆかしい、気品のあるといったイメージを“老舗”に抱くと思います。
しかし老舗になるためには、少なくとも“継続”する必要があり、そのため常に変化し、社会に貢献し、社会から必要とされ、地域の文化の一部になることが必要不可欠と考えます。

継続するための必要条件の一つの側面として“評判”について考えてみました。医療では“どこそこの病院は評判が良い”とか“だれだれ先生は腕が良い”といった会話はよく聞かれます。実際に病院を選ぶとき、評判の良し悪しは大きなポイントになっていることも事実です。

患者さんが診察を申入れ、それに対して診察を開始すれば、患者と病院・医師との間に契約―専門用語で診療契約といいますが―これが成立します。日常の診療では患者さんも、わたしたちも診療契約がどんなものであるか考えてはいませんが、この契約により法的には様々な責務や義務が生じています。ビジネスの世界では文書化された契約の部類になると思います。(法律家ではないので異なるかもしれません。)契約時にあらゆることを想定して文書化することは不可能に近いと考えられます。
しかしながら多くの場合社会は問題なく回っているのも事実です。これは文書化されていない“お互いの期待”が成立しており、文書化した契約のように機能しているからです。書かれてない約束が存在し、これが機能するのが“評判”であろうと考えます。

病院の医療活動とか言動・行動は、地域内の様々な人々に知れ渡ることになり、もし約束を破ればその噂はたちまちに広がり“評判”は低下します。当然“継続”は望めません。そうならないためわたしたちは、法的な根拠を持たない書かれてない約束を守るインセンティブを強く持つことになります。
先人たちの積み重ねた努力のたまもの、地域住民より愛された老舗を維持発展するには、書かれてない約束を守ることが如何に大切かを痛感します。老舗を受け継いだわたしたち職員はこれを次世代につなぐ責務があり、日々行動することが求められています。

2018年 11月 7日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三