院長徒然日記

院長徒然日記

No.144 “働くよろこび”をどう伝える
「人並みで十分」か「人並み以上に働きたい」か
「人並みで十分」か「人並み以上に働きたい」か
若いうちはすすんで苦労すべきか
若いうちはすすんで苦労すべきか
日本生産性本部による平成30年度新入社員「働くことの意識」調査結果が発表されました。若い世代の働くことへの意識変化の移り変わりを知る大事な調査で興味を持って見させてもらっています。今回の特徴は「働き方は人並みで十分(61.6%)」、「好んで苦労することはない(34.1%)」が過去最高を更新と見出しがついていました。

バブル経済末期の平成2~3年度には、「人並み以上」 が大きく減り、「人並みで十分」が大きく増えましたが、その後の景気低迷にともない平成 12 年度以 降、入れ替わりを繰り返していました。それが平成 25 年度からは「人並み以上」が減少し、今年度は過去最低レベルに低下した一方、「人並みで十分」は増加する傾向が続き、過去最高を更新しています。また平成 23 年度からは若いうちから「好んで苦労することはない」が増え続け、今年は過去最高となっています。逆にその間、「進んで苦労すべきだ」は減少し続けています。

調査対象者が必ずしも医療従事者の若い人たちの意識を代表しているとは言えませんが、この傾向を受け止める必要があります。
若手の仕事ぶりを観察すると、いわゆる“指示待ち志向“がわたしたちの若年時と比べ明らかに強い傾向があります。仕事のやり方には正解があるはずなので、上司はそれを最初から教えるべきだと考えている節があります。
かといって、頭ごなしに「自分で考えて動け」では上司として失格です。若手職員は、決して手抜きをしようとしているわけではなく、仕事ぶりを見ると非常にまじめで丁寧です。この背景には日本社会が急激に変化したことと大いに関係があるものと考えます。

わたしたちの世代、さらに年配の世代は、若手であった頃日本社会は発展しており、好景気で、仕事そのものにおもしろさや意味を見出すことができました。そのため仕事を自己実現のための「目的」と見ることができました。
それに対して最近の若手にとって仕事は生計を立てるための「手段」としてとらえている傾向があり、ある意味「組織」「働くこと」に対して冷めた見方をしているのではと思います。
最近では、仕事のマニュアル化と細分化が進み、組織全体の流れの中で自分の役割、社会への貢献を自覚しにくい構造になりがちです。意義を見出すことができなければモチベーションの維持が困難になることは十分理解できます。

“働くよろこび”を抱いてもらうには、仕事が組織の中で、社会の中で、時代の流れの中でどのような役割をなしているかを丁寧に伝えることが全てと考えます。本人のためにも、組織のためにもわたしたちの世代が取り組む重要な課題と考えます。

2018年 9月 12日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三