院長徒然日記

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No.87 受動喫煙のないオリンピック

リオデジャネイロでのオリンピックで、日本はメダルラッシュで大変沸き立っています。9月からはパラリンピックも始まり、楽しみの日々が続きます。
ところで国際オリンピック委員会では、たくさんの人が集まる施設での全面禁煙を求めています。4年後には東京で開催されますので、喫煙に対する対応が日本でも問われています。2008年開催の北京、その後のロンドン、リオデジャネイロでは受動喫煙防止法を制定して対応した経緯があります。日本ではこのような法律は未だ成立していませんが、今後どうなるのか興味があります。最近の新聞で、小池新都知事はオリンピックに向け受動喫煙防止について「何らかの制度を主催都市の責任でやるべきだ」と前向きに取り組む姿勢を示しています。ただネットで調べた情報では、例えば北京では禁煙効果は一次的であり、オリンピック後の今では元に戻っており、北京での市民感覚としては全面禁煙の実現は不可能と思っているようです。持続性の対策がもっと重要であると考えさせられます。

JT(日本たばこ産業)が7月末に発表した最新の統計によれば、喫煙者率は全体で19.9%と2割を切っています。男性は29.7%で、1966年の 83.7%と比較すると、54ポイントも減少したことになります。確かに自分の経験からしても、タバコを吸っている人を目の前で見る事は昔と比べて明らかに少なくなっています。

今の学校教育ではタバコの害を子供たちに教えているそうです。今後ますます喫煙率は減少するものと思います。新幹線、飛行機内では喫煙を禁止され、喫煙場所が決められており、その場所でのみ喫煙が許されているようです。東京出張時に気付いたことですが、街中の通りでさえ、ガラス壁で区切られた場所で喫煙されている姿を見かけます。また病院内での喫煙は以前より全面禁止が厳しくうたわれています。

わたしは全くタバコをすいませんので、愛煙家の気持ちを理解できない点があります。しかし喫煙場所を厳しく制限され、肩身の狭い行動を強いられている姿を見ると、一種同情の気持ちも浮かんできます。
ここで一つ不安に思うことがあります。昔は喫煙に対して反論をすることはありませんでした。事実は発言力が弱くて声になっていなかっただけかもしれません。喫煙率が8割を超えており、喫煙者は多数派で問題にしてこなかっただけかもしれません。喫煙の害についての啓蒙が徐々に進み、今では喫煙者が少数派となり、発言力が低下し、社会の隅に追いやられて現在の状態になっており、今後ますますこの傾向は強まると考えます。
一般的に多数派の強硬な意見で様々な対策を推し進めると、結果として好ましい状態にはなりません。改善・改革は必要ですが、マイノリティーの立場になって考え、双方が納得する方策、手段を見出すことが大切です。どのような場合にもあてはまることですが、現状を正確に把握し、評価を行い、議論から始まり、試行錯誤しながら方向性を見誤らず、ワンステップずつ改善に向かうことが王道と考えます。

2016年 8月 25日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三