院長徒然日記

院長徒然日記

No.8 職場における価値観とは?
▲石碑に刻まれている人道・博愛の赤十字精神
▲石碑に刻まれている人道・博愛の赤十字精神

 最近、価値観という言葉をよく見聞きします。同じ価値観を抱く人同士では云々・・・、世代や時間を超えて価値観や生き様云々・・・、夫婦において価値観がうまく共有云々・・・と表現されることが多い。辞書をひも解くと価値観とは、「何が大事で何が大事でないかという判断、ものごとの優先順位づけ、ものごとの重み付けの体系のこと」と書かれています。しかしよく考えてみますと現在この言葉ほどその真意を意識せずに使われている単語ではないでしょうか?

 私は、病院という職場で仕事をしています。職場における、私の考える一番大事にしたい価値観は、その仕事を楽しめるかどうかにかかります。仕事が楽しめるかどうかは、そこに働いている人間との関係が重要になってきます。医療という同じ仕事の価値観を共有している仲間であると実感できることです。仲間と協力して何かを成し遂げることのできる職場であれば、信頼関係も築けて結果も残すことができます。お互いに切磋琢磨して刺激しあい、助け合い、成長することができます。こんな職場なら仕事も楽しいはずであり、楽しめるというのが一番の仕事の価値観だと考えます。

 この考えは世界に広く認められているのでしょうか?価値観は民族により異なるといわれています。そこで日本的価値観とは何かを少し考えてみます。ある書によるといわゆる日本的価値観を“和の精神”、”美意識(武士道)“、”こだわり“、“思いやり”、“恥の文化”、“技術礼賛”と分析しています。これらの日本的価値観は現代における企業活動においても強く反映され、次のような具体的な行動に集約されて現れています。すなわち“お客様は神様”、“品質第一主義”、“現場主義”、“技術力で勝負”、“良いものは売れる”、“クレームは悪”といった行動です。一部は世界に受け入れられ日本人の信頼を勝ち得ています。しかし弊害もあり、品質や技術に対する思い入れが非常に強く、良いものを作れば必ず売れると錯覚し、戦略的改善に不足を来たしているのも事実です。いわゆる携帯電話でのガラパゴス化で代表されます。また横並び意識が強く、変わった行動をとる人を排除する傾向にあり、独自性が発揮できない傾向にあります。日本的価値観は日本の中でしか通用しないといわれる所以です。世界的に見れば異質な文化とみなされています。


 価値観の多様性を尊重する、という文言を当たり前と思っている現在の日本ではその前提である“みんなで大事にするべきこと”を見失っているのではないかと思うときがあります。私たち医療に携わる者はその原点に立ち戻り、共有する大事なものを守り、これができてから個人の価値観の多様性に対応することが必要と思います。私は姫路赤十字病院に勤めています。人道・博愛の赤十字精神こそが、“みんなで大事にするべきこと”です。これがあってはじめて仕事を楽しむことができるのではないでしょうか?


2013年 7月 16日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三