院長徒然日記

院長徒然日記

No.70 混沌・・・だからこそ信じる道一筋


病院の仕事始めで院長の大切な仕事の一つに、職員に対する年頭の挨拶があります。年末から年始にかけて挨拶として何を話そうかと頭の中でいろいろなことを想い巡らしています。その中“混沌”の二文字が浮かび上がりました。

グローバリズム、人権問題、テロ、格差社会、世界経済・・・今世界は様々な解決困難な問題に直面しています。国により、民族により、人は様々な価値観を持っており、難問に対して的確な答えを見いだせずに悩んでいます。まさに答えなき世界であり、混沌の時代と言えます。早く的確な答えを出し、問題点を解決し終わりにしてほしいものですが、まだまだ持続するであろうし、永遠に答えは出ないかもしれません。

医療においても同じことが言え、“医療の混沌”の時代と言っても過言ではないとわたしは思っております。医療の現場に関わっているもの、また病院管理者の立場から、答えの一つのヒントになるかと考え、また自身を戒めるためにも年の初めに書き記してみます。

日本の医療でいま最も重要なテーマは2025年問題であり、これは世界に先駆けて人類がこれまで経験したことのない少子高齢社会を迎えようとしています。高齢社会では医療費の自然増は膨大なものになり、2025年をいかにうまく乗り越え、それに引き続きいかに安定した医療を継続するか、これに対する答えを見出すため、政府もまたわれわれ医療現場でも頭を悩ましています。明確な答えはまだなく、正に混沌としています。答えを導き出すためには、医療の基本は何か、医療に対して人々の多様な価値観にいかに応えるか、医療のもたらす幸福とはどのようなものであるか、その他様々な観点があると思いますが、一つ一つ解決する以外答えはないものと考えます。

わたしたちは混沌とした中でも悩みながら正しい答えを導き出さねばなりません。答えを出す一つのヒントとして、基本とは、医療は患者のためであり、日本社会が求める医療のあるべき姿を具体化することであり、これらが医療の現場で働くわたしたち医療従事者の使命であると考えます。社会構造が大きく変化しており、これに対応すべく病院は変化せざるをえません。未知なる答えを見出すため、新しいものにチャレンジし、将来を怖がらずに変化に対応できる力を備えることが基本と考えます。難しく表現しましたが、要は患者がいて、日本社会があり、病院がある。お互いが変化しなければ答えの出口には近づけないのではと考えています。

自分自身が混沌から脱却していません。混沌としているからこそ信じる道一筋に、職員とともにこの1年を歩いてみたいと思います。

2016年 1月 4日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三