院長徒然日記

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No.64 女性医師と職場環境


労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することが重要な課題とされ男女雇用機会均等法が施行されています。女性は妊娠・出産・育児等により、仕事と生活を両立させることは、今の日本社会ではまだまだ困難であるのが実情ではないかと考えます。しかしながら徐々にではありますが、仕事を継続でき、働きやすい環境整備が進んでいるのも事実です。

現在、医学部生の約3分の1が女性となっており、これからの医療、特に医師不足の現場では女性医師の活躍がますます期待されます。女性医師は、妊娠・出産等により、仕事と生活を両立させることが困難となって、専門職であるキャリアを中断せざるを得ない場合が多く出くわします。このため様々なハンディキャップを乗り越えることができるような働きやすい環境を整備することが求められています。それに加えて女性医師は医師であるが故に、安全かつ継続的な医療を提供することも求められ、これに対する配慮も必要になります。

兵庫県医師会では女性医師支援活動をされており、様々な事業を計画実行されています。その一環として『兵庫県医師会男女共同推進委員会と病院勤務医・研修医との懇談会』を、先日9月3日に当院で催されました。医師会側より女性医師含め9名、当院より女性医師10名が参加いたしました。わたしも病院長として挨拶をし、引き続き懇談会に参加させていただきました。
当院の概要では女性医師の比率は医師157名中女性医師45名、実に28.5%であり、多くの女性医師が勤務していること、環境整備のため、妊娠時、出産時、出産後、託児所、短時間正社員制度、そしてその他福利厚生についての実情を説明しました。医師会側からは、女性医師支援として、再就業支援、ドクターバンク、研修会、託児サービス、相談窓口、ベビーシッターの実情等の説明がありました。

その後懇談が始まり、自己体験で困っていること、改善提案、医師会への要望等活発な意見交換がなされていました。わたしも最初は普段聞くことのない女性医師の考えを率直に聞くことができ、彼女たちが何を考えて日常の仕事に取り組まれているかを垣間見ることができ、途中からはわたしも討論に参加していました。
ある女性医師が「確かに制度は充実してきている。しかしその制度を利用しやすい環境がいかに整えられているかが重要であり、まだまだ制度を利用できないのが現状である。」と述べたことに日本の制度は立ち遅れているかを実感させられました。また医師の間では如何に長時間仕事をするかがキャリアアップに重要であるかといった文化があるのが現状でありますが、これは男性医師の理論で医療社会が形成されていることに起因すると考えます。キャリアアップを目指す女性医師に対して、オーダーメードで、勤務日数や勤務時間を設定できる環境を取り入れることが最重要であり、これを現実的なものにするにはやはり先ずは医師、特に男性医師が女性医師の特性を考慮し意識改革する必要性を痛感させられました。

2015年 10月 1日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三