院長徒然日記

院長徒然日記

No.63 アンガーマネジメントのすすめ

平成25(2013)年9月に発表された『平成24年 労働者健康状況調査(厚生労働省)』において、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス」の第1位は「職場の人間関係の問題」でした。多くの人は職場でイライラを抱えている状態にあるといえます。 抱えたイライラの感情を家庭に持ち帰ると、夫から妻へ、妻から子へとイライラをぶつけてしまいます。イライラをぶつけられた子は、自分の弟妹や、翌日学校へ行って、自分よりも弱い子をいじめてしまいます。 こうして、怒りの連鎖に巻き込まれた人は、無関係の人についつい文句を言ってしまったりするのです。
知らず知らずのうちにイライラの渦へ社会が巻き込まれると、それはとても危険で厄介で辟易する世の中になってしまいます。

最近新聞の社会面、テレビ報道をみると実に多くの事件が生じていることが分かります。マスメディアが取り上げることが多くなったこともあるでしょうが、一昔と比べて頻度が多くなってきている感じがします。報道内容からみると常識では考えられないものが多くあります。社会のストレスがもたらしているのか、怒りのコントロールが下手になっていることも一つの要因ではないかと考えます。
医療の現場でも患者・家族そして医療従事者にもストレスがたまり、いろいろな問題を引き起こしているのも事実です。原因は様々なものがあるのでしょうが、結果的にお互いにモチベーションが下がり、適切な医療を行う上で効率が低下してしまいます。

先日日本経済新聞に「怒り 制御の術」の特集が載っていました。「怒りと上手に付き合う」「怒りの感情をコントロールする」ための心理トレーニング方法としてアンガーマネジメントがありますが、内容を抜粋して紹介します。
『怒りやイライラをコントロールすることを狙いとしているが「怒るのがダメというのではない」、怒るべき時は当然ある。怒ることと怒らないことを区別し、ストレスを少なくしていく。そうすれば人間関係もスムーズになり、仕事にも集中できる。具体的には3つのコントロールを実践することである。第1が「衝動のコントロール」で「怒りの感情が過ぎるように6秒待つ」。第2が「思考のコントロール」だ。相手の行動を①全く問題のないこと②少しイラッとするけど許せること③許せないことの3つの基準に分ける。最後は「行動のコントロール」で、怒りを①重要かどうか②変えられるかどうかという2つの軸に分類して行動を考える。これらは練習すればだれでもできるようになる。』

今の医療は複雑で、高度となり一人一人に合わせたオーダメイド医療が求められています。この中にストレスを生じる素因が含まれおり、患者・家族そして医療従事者もお互い怒りをもつこともあると思います。医療の現場では怒りを持っても何ら解決にはなりません。怒りを制御する術「アンガーマネジメント」を理解して、良い医療ができることを望みます。

2015年 9月 15日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三