院長徒然日記

院長徒然日記

No.6 ならぬことはならぬものです
▲病院内のとある場所
▲病院内のとある場所
江戸時代会津藩では藩校日新館に入る前、年長者を敬う心を育て、自らを律することを覚え、団体行動に慣れる為の幼年者向け躾教育を子弟たちが実践する上での決まりごととして「什の掟」を定めていました。
その掟とは
(1)年長者の言うことに背いてはなりませぬ
(2)年長者には御辞儀をしなければなりませぬ
(3)虚言をいふ事はなりませぬ
(4)卑怯な振舞をしてはなりませぬ
(5)弱い者をいぢめてはなりませぬ
(6)戸外で物を食べてはなりませぬ
(7)戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ
の7条よりなっており、「ならぬことはならぬものです 」と結んでいます。(7)は現代の価値観にあいませんが、その他は幼年者向けの指針として大事なことばかりです。 正しいことは断固正しいとの決意を、子どもたちに伝えていく気概が伝わってきます。

この国がまだ貧しかった昭和30年代、車はおろか、洗濯機や冷蔵庫やテレビもなかった時代に少年時代を生きた私は、物はなくても心は満ち足りていました。この時代に責任を果たすことを学んだと思います。家庭では「家の一員としての責任」、学校・地域では「共同生活をする上での責任」を学びました。まさに「ならぬことはならぬものです 」そのものでした。
いま私は医療人として社会の中で生きています。医療の中で生きるための掟は多数あると考えます。何よりも患者さんやご家族に対する責任、他の医療機関に対する責任、チーム内の同僚に対する責任や病院に対する責任など、多くの責任があります。この責任をしっかり果たすことが、信頼を得る最も大切なことだと考えています。姫路赤十字病院は、地域における基幹病院であり、地域医療支援病院・災害拠点病院・救急医療・地域がん診療連携拠点病院・地域周産期母子医療センター・研修医指定病院などさまざまな果たすべき責任を持っています。臨床において、あるいは学術において、地域をリードする病院でなければなりません。これらを成し遂げることこそ、地域に対しての真の責任を果たしていると言えます。

病院には種々の職種があり、各々が専門職としての責任を果たすことは当然です。診療部であれば、研修医からその科のトップ、病院幹部まで、専門職として医療を行うのは勿論のこと、それ以外に、研修医には研修医の、中堅医師には中堅医師の、そして診療科のトップであればそのトップとしての果たすべき役割・責任があります。看護部、検査部、事務部も然りです。当然院長には院長としてのさらに大きな責任があります。

わたしたちは赤十字病院の職員です。赤十字社職員として襟を正しましょう。「人道」を難しく考えなくてよいかと思います。私たちが医療職を選んだ純粋な心を実践していくことと理解しています。先ずは「ならぬことはならぬものです 」を基本に実践して行きたいと思います。

2013年 6月 18日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三