院長徒然日記

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No.55 老舗であり続けるとは
姫路城
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地域との交流 病院フェスタ
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最近立場上いろいろな所で挨拶を求められ、病院の説明をする機会が多くなりました。『明治41年創立された伝統のある・・・先人達のたゆまぬ努力により、地域住民より愛された・・・』と形容しております。普段あまり深く考えることなくこの言葉を使っていますが、この伝統とは実際どのようなものか考えて見たい。

老舗旅館、老舗企業などの言葉があり、一般的に100年を大きく越す企業を指しており、古き良き伝統を守り続けており、おくゆかしい、気品あるといった企業イメージがもたれます。しかし古き伝統だけを守るだけでは老舗にはなり得ません。実際にそれだけでは老舗に値するとは誰も考えていないと思います。技術、製品など新しいものを作っても、多くの者がすぐに同じようなものを作る。同じ場所にいたのでは、すぐに追い越される事は容易に想像されます。常に一歩進んで進化し社会の必要性に応えてきたからこそ、老舗企業という存在になったのであり、将来に向かってもそうでなければ老舗になり続けることはできません。
さらに老舗になるには日本社会に、少なくともその地域に文化を形成すること、そして社会に貢献することが重要な要素と考えます。これが伴い初めて気品が備わります。企業理念を高く設定し、ぶれることなく持続し、その企業活動が一つの文化を作る。先義後利の意味することを行い続け、社会から受け入れられてこそ老舗としてふさわしいものになる。

わたしたちの病院は今年で創立107年になります。地域ではいわゆる老舗の範疇に入る病院であると思われています。わたしは昭和54年にこの病院へ初期研修医として大学医局から派遣されました。姫路の地は初めてであり、地域社会での病院の立ち位置も全くわかりませんでした。


龍野町の旧病院は建物が大変古く、雨漏りもするようなものでした。しかし患者さんは大変多く、なぜこのような古い病院へこられるのか不思議でなりませんでした。ただ言えることは地域から絶大な人気があり、信頼され、愛されているのだなと感想を持ったことを思い出します。
これはまさに伝統・老舗のなせるわざと考えます。多くの先人達が長い年月を通して苦労しながら患者さんの治療を行い、地域医療に貢献し、社会から認められ、「日赤さん」と親しみを込めて呼ばれる文化を作ってくださった結果であるとつくづく考えさせられます。

今私、そして職員に求められていることは老舗を維持発展させることです。先に述べたように今までと同じことをするだけでは容認されません。患者さんが、地域住民が何を求めているかを職員一人一人が患者さんの立場に立って考え、行動することが重要です。医療環境の変化、技術の進歩により、患者さんの求めるものも当然変化します。それに伴い私たちも変化し続けることが求められます。この文化を次世代に伝え続ける、これがまさに老舗と考えます。

2015年 5月 21日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三