院長徒然日記

院長徒然日記

No.54  I'm Safe

今年3月スペイン・バルセロナからドイツ・デュッセルドルフに向けて飛行していたドイツの格安航空会社(LCC)の定期便がフランス南東部に墜落する航空事故があった。事故原因として副操縦士による自殺行為の線が浮上しており、副操縦士の精神的問題、網膜剥離といった身体的問題が取りざたされている。これを受けて各国では航空機の運航中は操縦室内に常時二人がいることなど改善策を打ち出している。


航空パイロットにとりミスは命取りになる。このためパイロットは,あらゆる意味で自分や周囲に目配りをし,自己管理することが求められる。ヘルスチェックのマニュアルに“I’m Safe”があり、今のコンディションで飛んでも良いか、飛行に適している健康状態かどうかを自己管理するチェック方法に利用されていると聞いている。この“I’m Safe”、Illness、Medication、Stress、Alcohol、Fatigue、Emotionの頭文字です。
Illness(病気):病気にかかると判断力・思考力低下のほか様々な障害が発生します。
Medication(薬の服用):薬の中には副作用のあるものもあります。眠気、目のぼやけ、 アレルギー症状などあったり、酔い止めには眠気を誘う成分が入っていたりします。原則、薬を服用したときは操縦しない。
Stress(ストレス):ストレスにさらされると、パイロットは集中力・注意力の散漫、判断力の遅れ、作業効率の低下、ATC の聞き逃し、計算ミスなどが多くなります。
Alcohol(アルコール):酒はパイロットの判断力の低下、反応動作に重大な悪影響を及ぼします。
Fatigue(疲労):単純作業の繰り返し、興味の消失、寝不足などが原因となり疲労状態になります。疲労状態においてはケアレスミスが増加したり反応が鈍くなります。
Emotion(感情):肉親の死亡、恋人にフラれるなど精神に多大な影響がある状態で操縦をするべきではありません。


自己管理チェックシステムは多くの職場で取り入れるべきことと考えます。特にわたしたち患者の命を預かる医療者たるものは自分の心と体のコンディションは最良の状態にして患者と接しなければならない職種であります。これらを就業前に自己チェックし、“I’m Safe”の状態で仕事に取り組まねばなりません。
しかしながらわたしたち医療職は不規則な時間を過ごす事が多く、コンディションを常にベストな状態に整えることが困難な立場に置かれています。今Golden Weekの真っ最中ですが、このような時こそ、特に心をリフレッシュして、 “I’m Safe”自己管理でいつもパーフェクトな医療者を目指したい・・・ものである。

2015年 5月 7日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三