院長徒然日記

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No.42 インフラ整備

国家事業としてのインフラ整備について論じる考えは毛頭ありません。いま日本赤十字社本社での会議に出席するため新幹線の車内にいます。移動時間を利用して、地域医療を充実し、質の高い医療を提供するにはどのようにしたら良いかについて、インフラ整備という言葉を借りて考えて見ました。

芝居に例えるならインフラは舞台を支える土台と考えられます。主役は舞台の上で演じている役者たちです。彼らは舞台の下の土台は見ないし、また見る必要もありません。素晴らしい演技をすれば良いのです。しかし演技をしている役者たちは舞台の制約を受けて芝居をしているのであり、舞台の制約そのものが芝居を規定していることに気が付きます。下部構造であるインフラがしっかりしていないと芝居そのものに影響を及ぼします。

これを医療に置き換えてみると、インフラは地域住民の思いであり、職員の思いであり、病院組織の目指す基本理念・基本方針に相当すると考えます。住民の思いは病院の歴史、地域での立場・役割を考慮し答えを出すものです。職員の思いは医療人としての基本をわきまえ、働きがいがあり、誇りを持てる職場を作ることです。そして社会に貢献すべき志の高い基本理念・基本方針を掲げ、これをもとに中・長期計画を立てることです。住民、職員、組織の理性のある調和を図ることがインフラ整備ではないでしょうか。

このインフラの上に舞台、すなわち病院があります。病院には膨大な設備、医療機器などがあります。これらを充実することは当然ですが、設備以上にもっと重要なものがあります。様々な職種の職員であり、異なる職種の職員を理解し、尊敬し、病院の基本理念に向かって協働できる文化、これこそが最も大切なものであります。舞台装置がしっかりしないと役者たちは質の高い芝居は出来ません。 舞台が揃えば役者たちの登場です。役者は患者さんであり、医療人です。お互いに質の高い医療を実現するために、理性を持って日々向上することが大切です。いま日本は超高齢社会を迎えるに当たり、限られた医療資源で、質の高い医療を求めると言った難しい舵取りが必要となっています。これを実現するためのキーワードは機能分化・連携・地域完結型医療といわれています。患者さんはかかりつけ医を持ち、医療機関は自院の機能を十分に発揮し、連携を深め地域全体として効率的な医療を皆で模索し、築き上げるときです。

2013年の日本の医療費は38.6兆円で国民一人当たりの医療費は30万円を超えています。効率的で良質な医療をすすめるためには、インフラをしっかり整えて、患者そして医療者も満足の行くしっかりとした基盤を皆様とともにつくりましょう。

2014年 11月 25日 姫路赤十字病院 院長 佐藤四三