院長徒然日記

院長徒然日記

No.39 はやりにとらわれず
 色づきはじめた癒しの庭の木々たち
色づきはじめた癒しの庭の木々たち
仕事を終え家に帰りテレビを見ていますと「今年のノーベル物理学賞に日本人3人の研究者」と速報テロップが流れ、昨年の「2020年夏季五輪・パラリンピック東京開催決定」に次ぐ久々の明るい話題に感動いたしました。すぐにニュース番組に切り替えました。


少ない電力で明るく青色に光る発光ダイオードの発明と実用化に貢献した業績が認められ赤崎教授、天野教授、中村教授が授与されることになりました。3人の教授がそれぞれ記者会見を開かれており、今までの経緯を話されると同時に、発光ダイオードに関する解説もあり、改めて業績の素晴らしさを認識いたしました。
なかでも赤崎教授の言葉に、若い研究者に「はやりの研究にとらわれず自分がやりたいことをやる。それが一番」とエールを送られていたのに感銘しました。大きな仕事をやり遂げるにはこの様な心構えが大切であることを人生の大先輩から改めて教えられました。

わたしは大学研究室時代に研究テーマを与えられ、指導医のもと実験を進めほぼ問題なく順調に経過いたしました。今から振り返りますと、自分が真にやりたいと思って研究に取り組んだとはとても思われません。与えられたテーマを自分なりに理解し、方針を決め、指導のもと仕事をこなしてきました。博士号も取得することができ、また後輩の指導もしてきました。研究者には向いておらず、学位を得ることが目的であったように思います。

わたしは臨床が大好きで、消化器外科医としてこれまで中播磨姫路の地で医療に関わってきました。26年前に当病院へ赴任してきましたが、当時わたしの専門分野の肝胆膵外科領域の医療は決して十分であるとはいえませんでした。若い外科医でしたので、一般病院でできる最先端の医療をすることで、地域に役に立ちたいという熱い思いでいっぱいでした。多くの人たちの協力を得ながら、やりたいことをやることができ、初期の目的はある程度達成することができ満足しています。後輩が引きつぎ発展させてくれると信じています。

病院に勤める多くの職員は、そもそも医療人として「患者さんによりよい医療を提供しよう」「職員がより働きやすい職場にしよう」「人の命に関わる仕事をしたい」といった基本的な価値観、情熱を備え、高いモチベーションを持っています。今わたしは院長職についていますが、多くの医療人を束ねる責任者として、職員が医療人としての原点を保ち、やりたいことをやれる環境整備が大切と考えます。これが地域医療に貢献できるわたしたちの役割と考えます。当面の課題を解決することは当然ですが、結論を早急に求めず、中長期的に計画を立てることの重要性を再認識させられた赤崎教授の「はやりの研究にとらわれず自分がやりたいことをやる。それが一番」の言葉でした。

2014年 10月 9日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三