院長徒然日記

院長徒然日記

No.30 電車内の風景
▲院長室で咲く胡蝶蘭
▲院長室で咲く胡蝶蘭
最近出張などが多くなり、バス、電車、新幹線を利用することが大変多くなりました。車窓の風景ならず、車内の風景は昔とは大きく変化しています。私は本来電車などに乗ると車窓の風景の移り変わりに興味を抱いて眺めたものです。例えば東京出張であれば、都市により、また季節により様々な変化・特徴があり、時間を過ごすに苦労はいたしませんでした。特に山頂に雪を抱いた富士山の全景を眺めることができたならば、いつでも感動したものです。

ところで車内に目を向ければ多くの人がスマートフォン、ゲーム機、ノートパソコンを真剣な眼差しで見て操作している風景が否応なく飛び込みます。ノートパソコンは仕事で利用していると容易に想像できます。ゲーム機も子供は別にして、成人した大人も夢中になっている姿もよく見かけます。ただスマートフォンで何をしているのか気になりますが、私にはよくわかりません。若者に確認すると、メールのチェック、インターネット、ゲームなどをしているようです。奇妙なことにみな同じ表情で、同じ目をしていることに気づきます。この状況が今の時代、日本のごく普通で、当たり前の風景なのかもしれませんが、私には少し違和感をいだいていました。あえて過去形で述べました。気がついてみると当の本人がiPadの画面を見つめているのです。ネットで調べものをしたり、書き物をしたりと東京までの3時間をあっという間に過ごしている自分に気がついたのです。時代のなせる電車内の風景になってしまったのかもしれません。

但し絶対に忘れてはならないことがあります。インターネット、スマートフォンの中にはデータしかないのです。これらの中には答えはありません。データを取り出すことが答えであると勘違いしてはなりません。最近「コピペ」という言葉が流行していますが、学生のレポート、論文、また学位論文まで他人の書いた内容をコピーして、そして自分の文書に貼り付けることを意味しています。これの良し悪しは別として、これでは自分のアイデアを表現していることにはなりません。自分にとって最も大切な考え、情熱、誇り、個性等がパソコンの中にあるはずがありません。それは自分の中にのみあり、五感で周りを理解し、判断し、何をすべきかを決定することが大切なのです。文書を自分で考えそして記載し、書きながら思考を深めていくことにこそ新しい何かが生まれるのではと考えるようになりました。

2014年 6月 10日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三