院長徒然日記

院長徒然日記

No.29 危惧する“薄い社会”
▲職員教育にも力を入れています
▲職員教育にも力を入れています
 最近の社会現象で少し気にかかることがあります。STAP細胞の報道が世間をにぎわしていますが、ノーベル賞に値すると持ち上げたかと思うと、その後は論文捏造と論調しています。その他同様な例を少し挙げるなら、中学生いじめ問題、ホテル等による食材偽装事件、身障者を装った作曲事件、最近ではSTAP細胞論文問題等数えればきりのない事件が次から次に生じています。内容に関しては詳細が判りませんし、またコメントする立場でもありませんので何も申しません。ただこのような事件に共通するものとして当事者が結果を早く求めたり、手段が未熟であったり、指導体制が不備であったり、全体的に熟慮が少ないようです。またマスコミも報道するに当たり劇場型であり、私たち国民もそれを求めている感がぬぐえません。行動する前に自分を再度見つめなおし、周囲と議論し、さらには実行するといかなる影響があるかなど幾重にも検討する課題がありますが、それがなされていない。日本社会が何か『薄い社会』となっているのではと考えさせる事件が多くなっていると危惧しています。おそらく同様なことは昔にもあったのでしょうが、今は社会が成熟していますのでますます思慮ある行動が求められています。

多くの会社で新入職員を迎えて1か月余りが過ぎました。本年4月1日私達の病院でも様々な職種の新入社員120名を迎えました。オリエンテーションも終え、それぞれの部署で実務に就かれています。新入社員にとってこの1か月間は、新しい環境、新しい人間関係、理想と現実のギャップ、目標の喪失、ゴールデンウィーク等々いわゆる五月病の要因となることを多く経験されたと思います。私たち戦後混乱期に生まれた世代にとって、最近の若者の行動をみると、それなりの理由はあるのでしょうが、いとも簡単に職場を変えている人が多い様に見受けます。会話等によるストレス解消、栄養バランスのある食事、良質な睡眠・休日などでどうにか乗り越えていただきたいと思います。

私達の病院という組織には患者さんに安全で良質な医療を実践するために様々ないわゆる専門職の方々がおられます。職員がそれぞれの専門性を生かして協働して患者さんに医療を提供しています。職員は学校で専門職の教育を受け、国家試験に合格して、その後病院職員となっています。しかしどの職種も直ぐに患者さんに対して十分な医療の実践をすることはできません。配属された部署で育成し、さらには他部門とのコミュニケーションを図りチーム医療を実践する手段を教育しています。医療とは常に患者さんと向かい合うので技術のみならず心のケア、接遇の面も重要な教育内容としています。最近はこのような職員の育成に大変力を入れています。これこそが病院の文化であり、実力であると考えているからです。大切な命を扱っていますので基本から実践まで丁寧な育成が大切なのです。医療という社会はどんなに時代が変わろうとも決して“薄い社会”であってはなりません。新入社員の方もこれらを理解して自分を磨くようにしていただきたい。他の業種でも同様であり、新しい職員を大事にしていると思います。いわゆる五月病に負けることなく自分を磨くことに専念してください。

2014年 5月 28日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三