院長徒然日記

院長徒然日記

No.194 『正しさvs正しさ』は正しい?

 日本そして世界中はコロナ禍真只中です。報道で様々な対策・意見が飛び交っており、わたしも自然とその中に入って情報を得たり、考えたりする時間が増加しています。新型コロナウイルス感染症はいつか収束しますので、その後どうあるべきかについて考える必要があります。その為には今回の災いは、阪神・淡路大震災や東日本大震災と決定的に異なりインフラに損害が及んでいないことを考慮することが肝要です。コロナ後で求められることは物事の考え方を変えることであり、行動を変えることに重きが置かれます。そこで院長という職業柄、どうしても病院組織のあり方について考えてしまいます。
急性期病院で取り組まねばならない大きな課題の一つに医師の働き方改革があります。これは単に医師だけの問題ではなく、他の職種、部署などの全職員の問題であり、病院組織システムといった問題と関連しており、構造改革とも関わってきます。行動の変化であり、意識の変化を伴うものです。今回のコロナ禍で多くの職員は変わらなければ生き残れない、一歩前に出ないと先はないのではと感じていると思います。わたしもそう思っています。

 日本の会社では、部署間、上司部下間、人間関係に壁があり、社内調整、根回し、資料作りで毎日振り回わされて一向に仕事が進まず、結果的に思うような成果に結び付かないとよく言われています。所謂組織の壁があります。それぞれの部署の職員は正しいと思うことを行なっており、ほかの職員の仕事を妨害しようとも考えていません。どの部署も正しいことを行っているのです。しかし組織全体でみると、誰もが「頑張っているのに報われない」という状態を生み出しているのです。『正しさvs正しさ』のぶつかり合いになっているのです。これは正しいことでしょうか? 部分最適であり全体最適となっていないため、全体として頑張りが報われないのです。多くの組織のあり方が、部分最適の集合体となっており、非効率的になっていると言えます。これを打破するには、自分がおかれている立ち位置をしっかりと認識し、組織はどの方向へ向かっているかを理解し、職場の仲間や上司、他部署を巻き込みながら協働関係を築くことです。これにより例えば当面の課題である医師の働き方改革に一つの答えが出るのではと考えます。さらには組織として大きく前進することにも繋がります。

 『壁』を打ち破ることは決して容易でないことはよく理解しています。しかし人類の歴史をみると、新たな感染症に遭遇し、収束した後に社会構造が変化し発展してきています。新型コロナウイルス感染症も人の行動に必ず変化をもたらします。ならば楽しいことをどんどんやって変化しましょう。職員一人が楽しくなることにより、他の人も楽しくなることに勝ることはありません。そのためには恐れることなく楽しんで新しいことに挑戦して、どのような結果が現れるかみてみましょう。
堅苦しいことを綴りましたが、コロナを契機として明るい未来が来ることを期待します。

2020年 8月 25日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三