院長徒然日記

院長徒然日記

No.188 集団で困難を乗り越える

 5月25日新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」が全国で解除されました。約1か月半に及ぶ宣言が終了し、日本国民皆が肉体的にもまた精神的にも不安な状態から少し解き放たれた感じがします。只これで安心して以前の生活に戻ることはできません。感染拡大が一段落したこの時期に今後に備えて生活の在り方、診療の在り方をどうするべきかを考え、体制を整えることが大切と考えます。
 日本は未知のウイルスに対して、世界の状況と比較すると感染者数、死亡率も低く抑えることが出来ました。この事実について日本は世界に向かって誇りうる立場と考えます。政策が良かったのか、日本人の習慣が良かったのか、ウイルスに対して従前より抵抗力を備えていたのか、様々なことが言われていますがその答えに関しては今後を待つしかありません。 コロナ禍により日本社会全体もそうですが、わたしたちの病院もこれまで経験したことのない事態に遭遇し、毎日毎日が新たな対応に追われていました。すべての情報を職員全体で共有し、一つ一つを解決し、病院が一体として動くようにルール作りを進めてまいりました。まだまだ不十分なところはありますが、これまでの経験を活かして今後の体制を強化したいと考えています。

 この一連の中で教えられたことが沢山ありました。連日のテレビ等による報道は、わたしたちのようにコロナの最前線で働く職員にとっては、未知な感染症であるが故に、一刻でも早く不安から逃れたいと思ったであろうことは容易に想像できます。仕事として選んで働いている以上、医療従事者は一定のリスクを受け入れていると言われていますが、現実に最前線で対応している人は称賛に値することだと思います。職場から離脱したいと思うことはあっても、現実には行動に移してはいません(少なくとも当院では)。これは「人は誰もが一人で生きているのではなく、社会の中で生かされている存在である」とこの災難の中にあっても、職員が潜在的にこのことを強く感じているからに違いないと考えます。
 非常事態には、いろいろな職場・立場から様々な意見が語られ、ややもすると組織の分断を招くことに繋がります。しかしわたしたちの病院では一歩行動に移す前に理性的に考えて頂いたのか、その兆候は表れませんでした。院長として職員への感謝です。
これらは教えられたことのほんの一部です。機会がありましたら、再度記したいと思います。
 日本人はこれまで様々な困難に集団で乗り越えてきたに違いありません。わたしたち職員も集団で乗り越えた困難は、きっと集団の遺伝子に刻まれ、次の災難に対応できると確信します。

2020年 5月 27日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三