院長徒然日記

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No.186 コロナ禍での教育をどうするか?

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い多くの地域で小中学校や高校などを臨時休校にしています。また多くの大学、専門学校などの教育機関も同様な行動制限をしています。特に小さなお子さんのある家庭では様々な社会問題も噴出しています。このような社会問題もそうですが教育といった根本的な大きな問いかけがなされています。 わたしたちの病院でも初期臨床研修医、看護師、その他コメディカルを含めて多くの職員がこの4月入職し、真の意味での新たな社会人となりました。今後医療人として成長していくためには教育は切り離すことが出来ません。彼らにとって医療を志し、勉学に励み国家試験も合格し、これからやっと希望が叶い、高いモチベーションをもって就職したものの、コロナ問題が持ち上がってしまいました。
 自分自身の経験からしても、医師として社会人となった当初、先輩たちから手取り足取り教えていただき、また医療以外でも社会人としての常識を教えられ、今の自分があると実感しております。当時と今では教育方式は発達しずいぶん様変わりし、環境的にも充足していますが、コロナウイルス感染拡大している現状では十分な教育環境を整えることが出来ません。とは言え職員は教育の重要性を理解していますので、各部署各現場では環境の許す限り工夫をしながら取り組んでくれています。

 同じことが病院の付属看護専門学校でも生じています。新入生は入学式こそ簡素に行いましたが、以後自宅学習としておりますし、2,3年生は実習が極めて重要であるにもかかわらず、これも現在は全て中止の状態で、家庭での座学となっています。
 自宅学習では教育効果が不十分との判断で、急遽オンライン授業を始めることにしました。機材を取り寄せ、学校の教師陣も慣れないことですので、どの様に進めるか検討を始め、準備が整い次第スタートすることにしています。
 コロナ禍は、あえて言うならば、私たち医療従事者にとって一生の間ほとんど経験することのない貴重な事態の真只中にいると言えます。「いい勉強させてもらえる」「こんな時だからこそ、やれることがあるはず」「ピンチこそ、変わるための絶好の機会だ」などと、こんな時だからこそ平時ではできないことを勉強できると前向きに考えるべきと考えます。 医療人、特に看護師にとってはだれでも知っている看護師の祖と言われるフローレンス・ナイチンゲールはクリミア戦争で活躍していますが、女史は統計に基づく医療衛生改革でも有名です。クリミア戦争の悲惨さを客観的に観察し、病院内の不衛生等蔓延する感染症対策に重きを置き、従軍兵の死亡率の低下に貢献しています。
 ナイチンゲールに見習って、今世界で起こっていることをしっかりと観察し、評価検証していただければと思います。疫学、疾病、対処法など医学だけでなく、身近で知っている人、機関、関係団体等が日頃表明していることと、現実に危機状態に陥ったとき、実際どの様な行動をしたか、そして自らはどうであったか等々、人として学ぶことは多方面に及び、今後の人生できっと役にたつと思います。わたしも検証します。
一刻でも早く新型コロナウイルス感染症に明るい兆しがみえることを祈ります。

2020年 4月 23日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三