院長徒然日記

院長徒然日記

No.180 外科医が減少する

最近外科の会合に出ると、外科医が足りないといった話をよく聞きます。わたしも外科医の一人ですので、現場で若い外科医が忙しく仕事をしている姿を見かけており、実際に医療の技術も進歩し、医療安全にも配慮する必要がありますので、以前よりはるかに多くの作業が必要で、外科医不足を実感させられます。 そこで日本の外科医の実態について調べてみました。2015年日本外科学会が外科医の推移について報告しています。それによると1994年を基準として2006年まで減少し続けていた外科医が、2012年にほぼ回復したものの、その後増加はしていません。ちなみにこの間減少したのは産婦人科と外科のみであり、他の科は増加しているとの報告もありました。さらに昨年の外科学会定期学術集会では、外科は産婦人科、救急と並んで長時間労働の“御三家”であり、外科医不足の中核要因は「変わらない職務環境」であるとし、外科医が率先して「働き方改革」に取り組む必要性を訴えています。

時代とともに外科医の概念は変化しても、外科医が不要になることはあり得ません。与えられたスタッフ、与えられた手術室・機材、その他いろいろな条件の下で、最善を尽くすことは医療の本質そのものと考えます。 そのためには外科医が本来の力を発揮できる職務環境に変えることが喫緊の課題です。医療界あげて現在これに向かって取り組んでいます。 しかしながら日本の医療は欧米先進国と比較して、ある意味医療人、特に医師の犠牲的な働き方に依存して成り立っていた事実も否定はできません。昨年度から始まった働き方改革では、医師の時間外労働に関して急激な改革をした場合の医療に与える影響が大きいため、5年間の猶予が与えられました。形あるものにするには、地域医療を守る共通認識のもと、住民そして医療界が理解・協力して、地域社会を変える必要があります。

わたしたちの病院でも様々な取り組みを行っています。例えば複数主治医制の導入を積極的に行い、特定の医師に業務が集中しないような体制を整えるべく動いています。タスク・シフティングでは、医療安全に留意し、業務を見直し多くの職種が協力し合うことにより、結果として医師の負担軽減を目指しています。短時間勤務、院内保育施設など女性医師の支援にも先駆的に取り組んでいます。できることからはじめ、5年後には病院全体の働き方改革に解決策を見出したいと思います。

今回は医師の働き方と医療と言ったこれからの少子高齢社会の中で、住民と医療現場が協働して、早急に取り組まねばならない問題ですので堅い書き方となりました。

2020年 1月 21日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三