院長徒然日記

院長徒然日記

No.163 これからの時代は情報編集力

日本社会は少子高齢化が進み、限られた医療資源(医師・看護師・その他多くの医療にかかわる人材、モノ、カネ等々)を有効に活用するために一昔前とは全く異なった医療へと変化しています。質の高い、安全で安心の医療を提供するために各医療機関では様々な職種の方が、協働して行うためにどのように取り組むかを検討し行動に移しております。いわゆるチーム医療を推進しています。また病診連携といって各医療機関の間では患者中心に情報を共有して連携を密に行い、地域で患者さんの医療を行う方向へと変化しています。この活動を成功に導くには現場での人と人の関わり、コミュニケーション、ネットワークが最も重要な鍵となります。

ネットワークについてコーチ・エイ社の番匠武蔵氏が、個人間のネットワークは組織のパフォーマンスにどのような影響をもたらすかについて興味あることを書かれていました。それによるとメンバー間の相互作用と連携の量を示す「内部密度」と、メンバーが外部に持つ人脈の大きさを示す「外部範囲」の二つのバランスでチーム力を表現できると説いています。効率的なチームは内部密度が高く、外部範囲が広いというネットワークの特徴があり、イノベーションを起こすチームは外部範囲が広く、内部密度が低いといったネットワークの特徴があったと結論付けています。内部密度が高いと考えが似通ってしまい革新に最も必要な意見の相違や創造的な議論が少なくなると考えます。

わたしはイノベーションを起こすチームの特徴に興味を大いに抱きました。今世の中は想像を絶するスピードで変化をしています。高度経済成長期に育った私の時代は、勉強し、就職し、長時間働けば結果として生活が保障されていました。このような絶対的な正解がありました。しかし今の時代はそうではありません。答えのない時代とも言えます。自分中心に考えて答えを出すといったこれまでの手法では対応できず、他人の考え方、知恵や技術などを取り入れ、自分が納得でき、周りの人も納得する答えを出す手法、すなわち正解のない問題を解決する体制を整えることがこれからの時代では生き残ることに繋がると思います。
今まで文明社会で長年重要視されてきた「情報処理能力」ではなく、これからの時代では情報を集めそのうえで先を見越すといった「情報編集力」こそが正解のない問題に答えを見出すために最も必要な能力ではないでしょうか。


2019年 5月 28日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三