院長徒然日記

院長徒然日記

No.145 「経過良好」を聞きたくて

平成29年受療行動調査の協力依頼の通知が、7月に厚労省よりありました。行動調査は、全国の医療施設を利用する患者について、受療の状況や受けた医療に対する満足度等を調査することにより、患者の医療に対する認識や行動を明らかにし、今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的として3年ごとに実施している、とても重要な調査です。

「3時間待ちの3分診療」と言われて久しくなりますが、診察時間に関しては大きな変化は認めておりません。平成26年受療行動調査によると診察時間は「3~10分未満」が最も多く51.8%、次いで「3分未満」16.3%であり、平成8年以降の年次推移を見ても、10分未満までの合計で概ね6~7割程度の推移となっています。

わたしの外来診察スタイルもやはり、3分診療と言わざるを得ません。
院長になるまでの外来診療は、大変多くの患者さんを診ていましたので、長時間待っていただき、短時間の診察を行い、いろいろ工夫はしていましたが、ご迷惑をおかけしていたと思います。院長となった今では、外来の枠を週半日としており、現役時代にかかわった患者さんの経過観察が主になっており、待ち時間では迷惑をおかけすることはありません。ただし短時間診療は変わりなく続いています。

担当しているのはわたしの専門領域である肝臓がんの手術後の経過を観察している患者さんがほとんどです。MRI検査、CT検査、エコー検査といった画像を中心に、3か月ごとに診察をし、普段はかかりつけの先生に診療をお願いしています。画像を診て病変の有無をチェックして、問題なければかかりつけ医に結果を報告し、経過観察をしていただくことになります。何か疑問があれば対応を計画することになります。
先ず電子カルテを開き、今までの経過を確認し、画像を開いて肝臓を中心に画像を診、放射線科医のレポートを読み、それから患者さんを診察室へ招き入れます。すかさず「問題ありませんよ。経過良好です」と伝えると、入室時緊張された表情の患者さんに満面の笑みが現れます。「その言葉を聞きに来たんです。ありがとうございます。」の言葉がかえってきます。「かかりつけの先生に返事を書いておきますから。また3か月後に」ものの2-3分で終了します。

「問題ありませんよ」の中身はいろいろあります。医学上は大丈夫であると断定することはできません。医師として大丈夫と言い切るには、何時もためらいと後ろめたさが付きまとっています。不安な材料があるときが一番悩みます。患者さんの年齢、体力、性格などを考慮し、医学的事実をそのまま伝えるか、この場は安心していただく言葉をかけ、後に段階的に話をすべきか頭の中では様々な状況を考えますが、表情には出さないように努めております。
何をどのように伝えるか、正しい答えはないのかもしれません。患者さん一人一人によって大きく異なるものと思っています。

「“経過良好”の言葉を聞きたくて病院へ来たんだ」、何とも言えない“笑顔”、医者冥利に尽きます。

2018年 9月 27日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三