院長徒然日記

院長徒然日記

No.135 外科研修の今昔

つい先日大変お世話になった先輩の突然の訃報を知りました。
わたしが初期研修医として今の病院へ医局から派遣され、そこで初めて先輩にお会いしました。先輩はやはり外科医を目指して研修されていた一年上の先生でした。当時の外科には今で言う初期研修医は彼とわたしの二人きりでした。
そのため社会人として、医師として右も左も分からない自分を仕事のことは当然、仕事以外の遊びなどあらゆることに関しても、一から丁寧に指導してくださいました。

医局人事でわたしが他の病院へ移動したのち、先輩は市内に開院されました。その後再びわたしが今の病院へ赴任し再開することになり、再びことあるごとに行動をともにしていました。最初に出会って40年のおつきあいをさせて頂きました。

個人的な事はさておき、40年前の外科研修について、先輩と過ごした昔を懐かしんで思い出してみました。当時は、今の時代のように研修医のためのプログラムはありませんでした。研修医時代は手術前、手術後の患者さんの諸々の管理、相談などに携わっておりましたが、研修とは名ばかりで行き当たりばったりの状態でした。
外科医を目指していた若い研修医ですので、直接手術に携わりたいのは当然ですが、実際は手術室で直接手術に関わることは殆どありません。“とにかく観て習え”の時代であり、全身麻酔を受け持ちながら、先輩たちの手術を外から見る日々でした。

それでも実際の手術に近付きたい一心で、切除された臓器の標本整理中に、その臓器を直接手で触れ、手術の真似事をしながらの生活を続けていました。医学学習では毎日文献を読み、今のようにビデオもありませんので16ミリのフィルムを映写して観ながら最先端の手術を学び、何時でも手術できる準備だけは整えていました。手術したい気持ちが強く逆に必死になって学習したとも言えます。
二人で夜遅くまで病院内に留まり、緊急手術があれば上司も私たちの思いをよくわかっておられますので、わたしたちに手術のチャンスを与えてくださっていました。二人喜んで順番に手術の助手に入ったものです。
今の時代、外科医の研修プログラムはしっかりしており、昔人間からすると恵まれており羨ましい限りです。ただし恵まれたプログラムがあるとは言っても、自らが積極的に、能動的に取り組む必要性は昔も今も変わりありません。

研修時代、そして赴任してからの先輩との思い出は数えきれないほどです。今の時代の初期研修医とは全く異なった研修ではありましたが、今から振り返ると楽しい思い出がいっぱいです。
ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

2018年 5月 29日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三