院長徒然日記

院長徒然日記

No.12 平均在院日数で思うこと

 平均在院日数の言葉を最近よく見かけます。私たち急性期病院では特に在院日数を短縮するため、目標を掲げています。平均在院日数とは平均して何日間で退院できたかの指標です。計算方法に関しましてはいろいろあり、ここでは割愛させていただきます。この値が少ない病院が良い病院かと言えば必ずしもそうでもありません。当然治療に長期間を要する傷病の患者の割合(患者構成指標)が多いと長くなります。そのため患者構成を考慮した在院日数指標をみることがその病院の治療能力、いわゆる良い病院であるかを判定する基準の一つになるかと思います。

 今回堅苦しい内容から入りましたが、本題は少し異なります。平均在院日数と患者満足度に関して最近私が感じていることを書いてみます。私たち医療者が「今日もよい医療ができた」と笑顔で言えるためには、患者から感謝してもらえるなどのフィードバックが常に必要です。感謝されることがよりよい医療を提供するモチベーションの大きな要因です。

 患者さんにとって退院は大変うれしいものです。しかしその嬉しさが昔と今では様相が少し変わってきている感があります。医療財政などの問題もあり、政府は急性期病院から回復期病院、慢性期病院、在宅医療、介護へと誘導しています。いわゆる社会的入院解消のために在院日数を短縮してきた施策を決して否定はしません。一定の効果はあったと考えます。この結果私たちのような急性期病院では、入院と同時に退院調整が介入し、患者は戸惑いを感じておられます。せかされて退院するといった感覚と想像します。このため嬉しいはずの退院の様相が変化していると考えます。

 政府の方針がある以上、医療の大きな流れは変わらないでしょう。では患者に良質な医療を提供するために、何をすべきでしょうか。中播磨・西播磨医療圏の医療関係者が一丸となって、患者に良質な医療を提供するといった体制造りが必要です。各医療機関は自院の機能をよく理解して病診連携を今以上に深化することが重要です。各医療機関が努力することは当然ですが、行政、医師会が中心になり、体制造りの後押しをしていただきたいと思います。もう一つ大切なことは、患者・地域住民の方に医療行政の大きな流れを啓蒙し、よく理解していただくことです。実際に具体化するには大変な困難が予測されます。在宅医療だけでなく後方病院や介護施設など、療養が豊かにできる地域になりたいと思います。この状態になれば、患者に退院していただくときは、かつてのように喜んで退院していただけると思います。私たち医療者にとっては「今日もよい医療ができた」と笑顔で言え、明日から仕事を続けるモチベーションへとつながります。


2013年 9月 15日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三