院長徒然日記

院長徒然日記

No.108 最適解を求めて

赤十字本社での研修出張からの帰り新幹線車中でこれを書いています。全国の赤十字病院の院長が参加し、病院運営のこれからのあり方について講演会を聴いた後、小グループに分かれてディスカッションをするといった約4時間半の研修でした。このような講演会・研修会はいろいろなところで行われており、わたしも年数回参加しております。
病院組織は、内部状況、病院を取り巻く周囲の環境はどの病院一つを取り上げても、同じものは決して存在しません。赤十字グループの病院は全国に92病院あり、それぞれの病院はいわゆる独立採算の運営を行っていますので、病院の三役、中でも院長にはそれなりの大きな責任とプレッシャーがあります。今回のような研修会に参加し、見聞きしたことを参考にしながら、それぞれの組織にとって最も正しいと考えられる、いわゆる最適解を導くことをしています。

ところで研修などに参加するのはわたしだけではありません。どの企業にとっても従業員の育成は最も重要なものの一つであり、病院も例外ではありません。病院ではほとんどの職員が有資格者といった特徴があり、職員の一人ひとりが動いて初めて機能する労働集約型企業体と言われています。病院の発展・継続、時代の要請に応えるには、職員の育成は大切であり、また職員にとっても成長することで働き続ける糧になるのではと考えます。
病院職員、特に最近の若い職員の知識は素晴らしいものがあり、潜在能力は高いものと思われます。“how to”はしっかりと学んでいます。しかし“why”はどうかというとやや疑問があります。この点にこそ指導者は力を注ぎ、若い職員を育てることが大切と考えています。現場で経験する事象、研修で学ぶ事柄、もろもろの内容をよく理解したうえで、それぞれの組織での一般解、最適解を導く力をつけてもらうことが、組織にとっても、また個人にとっても発展の原動力になります。

最適解を導く一つの手段として“critical thinking”といったいわゆる批判的思考があります。Leftonは批判的思考を「証拠を評価し、選択肢を検討し、結果を査定し、結論が意味のあるものか決定すること」からなりたっているとしたうえで、バイアスを避け、評価的になり (be evaluative)、過度の単純化を避け、事実の関連性を決定し、事実を疑い、すべての議論を考慮すべきであるとしています。
日々多くの問題点が持ち上がり、解決すべき事柄がありますが、わたしたちはふだんからcritical thinkingを取り入れた思考を無意識に行っているものと思います。ただし重要な事案を決定すべき時は、自分自身は頭の中でのみ考えるのではなく、事象を書き出して、解決策を導くよう努めています。このためにも研修は重要な位置を占めています。若い職員にも自己研鑽を深め、是非whyの力を養ってほしいと思います。

2017年 6月 6日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三