院長徒然日記

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No.95 ストレスとの上手な付き合い

労働安全衛生法が改正され、昨年12月から一定規模以上の事業所ではストレスチェックが義務付けられ、わたしたちの病院でもこれを今年より行っています。厚生労働省労働安全衛生調査によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は、平成25年の52.3%から平成27年の55.7%と増えています。
医療の世界はストレスが強い職場と言われていますが、メンタルヘルス不調による連続1か月以上休業または退職した労働者割合は、医療・福祉業界ではそれぞれ0.3%、0.4%であり、産業別では中間の値でした。これは医療・福祉業界全体ですので、わたしたちのような忙しい急性期病院でのストレスチェックの値がどのような結果が出るのか大変興味を持っています。

ところで、同じ職場環境であり同じようなストレスに晒されていても、ストレス症状を起こす人と起こさない人がいますが、この違いはどこから来るのでしょうか。ストレスの原因に対しての反応の違いであるとされています。ストレスの原因に気軽に反応し対処できる人はストレス症状を起こしませんが、対処できない人はストレスに感じてしまいます。
日本ストレスチェック協会理事 武神健之氏によると、ストレス症状を起こす人には3つのタイプがあるとされ、なるほどと感心させられました。それは、
(1)優秀な人に多い「頑張るストレス」
(2)他人を巻き込みたくない「我慢のストレス」
(3)周囲が気づかぬうちに病む「ガス欠ストレス」
の3タイプです。わたしなりに要約して紹介します。

優秀な人ほど仕事が集まりやすく、同僚からの相談も多くなり、上司からも一目置かれ、ついつい仕事を多く任せてしまいがちとなります。優秀な人は頑張ることで対処しますが、そのこと自体が周囲からは普通とみなされ、本人は頑張り続けることになります。しかしそれが認められていないとふと感じたその時から、自分は報われていない感覚が一気に押し寄せてきてストレス症状を起こすタイプが「頑張るストレス」です。
頼まれた仕事に対してNoと言えずに我慢、あと少しと考えて我慢、仕事がなくなることが怖いから我慢など、我慢の連続をする人がいます。実際は我慢はあと少しで終わらないことがほとんどです。このタイプの人は、ストレスの原因への対処として他人を巻き込みたくない、他人に迷惑をかけたくないといった感情を持っており、他人を巻き込み波風を立てると自分が嫌われると不安を常に抱いています。それが我慢を続けていても報われないとふと感じたとき、それまで張っていた気持ちが切れてストレス症状を起こすタイプが「我慢のストレス」です。
仕事以外日々の生活に趣味がない、楽しみがない,熱中するものがないタイプで、気分転換やOn,Offのメリハリがなく、なんとなく徐々に調子が悪くなるパターンです。仕事をそつなくこなすものの、日々の生活に楽しみ、喜び、熱中できることがなく、気分のリフレッシュができません。肉体的にも、精神的にも摩耗消耗しており「ガス欠ストレス」です。

今の自分は「頑張るストレス」のタイプがあてはまるかなと思いますが、将来年を取って「ガス欠ストレス」になるのは避けたい気持ちです。
ストレスの原因には一人だけで解決できないこともあります。ストレスに上手に反応することが大切であり、同僚や友人、家族に早めに相談することも重要であり、また周囲の人も早めに気づいてあげることも必要と考えます。

2016年 12月 14日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三