院長徒然日記

院長徒然日記

No.89 2025年問題
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ
9月22日秋分の日の祝日、家でテレビを見ていると、「超高齢クライシス2025」という番組があり、いわゆる2025年問題をテーマに取り上げて放送していました。これから9年後人口問題を契機に日本社会に激変が起こり、世の中の暮らしが変わってしまうことを実にわかりやすく解説されていました。きっと多くの方がこの番組を見られたと思います。私も大変興味を持って2時間を過ごしました。

戦後の出産制限政策(わたしは知りませんでした)、これに始まる人口減少、人口の都市集中、地方の限界集落問題、経済情勢の不透明さ等々、どれひとつを取り上げても大変大きな問題です。国民の生活面に目線を変えると、多額な老後の生活費、高齢者を支える若者による負担の増大、高齢者介護問題等々これといった具体的な解決策のない内容ばかりで、想像してみると心配だらけの世の中です。世界でどこも経験していない内容であり、日本が先頭を切って改革の見本を示さねばならないことです。唯一言えることはあらゆる世代がお互い支え合い、時が来れば支えられる成熟した日本社会の形成が求められることです。

わたしたち医療の世界でも、この2025年問題は大変重要な課題で、既に大きな変化に向かって動き出しております。日本は国民皆保険制度のもと、国民すべてがレベルの高い医療を受けることができ、平均寿命も世界で1、2位を長年続けています。これからもこれを享受しなくてはなりません。医療費の増大、高齢社会に向かいさらなる医療費の増大、日本経済の長年の低迷等々により、医療の世界は待った無しの改革が求められています。既に成人病、ガンなどの予防対策に様々な政策がとられ、徐々に実行に移されています。その中改革の目玉の一つとしてあるべき医療を目指した地域医療構想が進んでおり、それぞれの地域で各医療機関が機能分化し、また医療機関が連携を取りながら、2025年を目標に病院は変わろうとしています。また病院内では、機能に見合った職員の配置、構造の改造に取り組んでいます。
医療機関だけではなく、一般の方にも意識の変化が求められてきます。例えば人としての生き方、健康寿命のとらえ方、医療の受け方等々、一人一人が医療とは何かを主体性を持って考えていく必要があります。これらは医療機関と共同して変化することも求められると思います。すべてを具体的に書くことはできませんが、総論的に変化しなければ日本の医療は崩壊すると言っても過言ではありません。

2025年はすぐそこまでやってきており、現実感を持ち、国民一人一人が、我が事として考える必要があります。「過去を見て、今を知り、未来を考える」ことの大切さをつくづく考えさせられました。

2016年 9月 23日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三