院長徒然日記

院長徒然日記

No.88 日々課題は変わる

国の内外を問わず、世の中の出来事を知ることはいろいろな意味において楽しみの一つです。興味があれば深読みし、そうでなければさらっと聞き流す。最近はネットも発達していますので、関心事はいくらでも情報を得ることができます。
一昔前と比べ、経済でも、政治でも、またわたしが関係する医療界でも変化の度合いが増し、時間軸の流れが早くなっているようです。これは誰しもが感じていることと思います。わたしにとっての関心は、物事の内容もそうですが、それ以上にその場面場面に関わった組織、人物が、どの様に考え、行動し、変化・難局を乗り切ったかといった点です。その意味では歴史上の人物の行動を知ることと共通点があります。

変化が現れたとき、組織や人はそれを把握し、評価し、局面の打開策を計画し、そして行動します。その結果を再評価し、計画を立て、より良い方向に改変するものだと思います。これを繰り返すことにより組織・人が大きく成長すれば理想的です。正にPDCAサイクルを回し続けることになります。この様な行動は、意識するかしないかは別として、誰もが常に行っていることです。

わたしが外科医になってからを振り返ると、とにかく執刀医として早く手術がしたい、高度な手術がしたいと自分のキャリアアップのことしかありませんでした。それが外科部長になると、外科の組織を良くしたいと考えるようになり、少し視野が広がりました。歳を取り、徐々に病院の中が見えてくると、組織の中での外科の立場、自分の立場が理解できるようになり、副院長となった頃には病院の細かな部分がみえ、また、病院の地域における立ち位置、医療の方向性等々が少し見えるようになりました。
ここでようやく気付いたことがあります。「自分はただ流されてきただけではないか。観点を変えて、主体的に目標地点に向けて、いま行動することが大事である。大きな視野で、日本社会はどうなのか、どうなるのか、地域医療の今後はどの様になるか、これらを的確に評価することが大事である。将来あるべき姿を描くことが大事である。」このことを遅ればせながら副院長の時代にやっと少しばかり描くことができたのではと自負しています。

今は院長の職を務めており、確かに責任は重大ですが、大きな船の船長と同じく、病院の方向性やあるべき姿を決める立場にあります。その意味では責任は重いものの、自分の目指す目標地点に進みやすくなっています。方向が決まれば後はぶれないことであり、一つ一つの課題を乗り越えていくことになります。いま日本社会、医療社会は大きくダイナミックに変化しており、課題は日々変化しています。それらの課題にそれぞれ対応することも大事ですが、組織・人が成長するためには、課題をあえて求める姿勢も重要と考えます。

人は船の大きさに大小はあるものの、それぞれが船長の立場にあります。将来あるべき姿をしっかり描き、それに向かって今どのように行動すべきか、日々変化する課題に大きな視野で物事に対処することが大切と自問自答しているこの頃です。

2016年 9月 8日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三