院長徒然日記

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No.113 今年もQC活動キックオフ

「組織のエネルギー効率を下げているものは何か?」(株)コーチ・エィ鈴木氏のコラムを読む機会がありました。エネルギー効率とは、火力発電を例にすると、投下した燃料の発熱量に対して、そこから電気として利用される部分が多ければ効率が高い。逆に電気にならない部分(廃棄熱)が多いと、効率が低いということになります。エネルギー効率の高い発電所もあれば、低い発電所もあるように、企業にも、これが高い組織と低い組織があります。エネルギー効率の悪い企業では、自己や同僚の保身にエネルギーが振り向けられる傾向にあります。誰しも保身にエネルギーを振り向けることは当たり前で、自分の身を賭して、会社の業績をいの一番に考えて物を言うことは簡単ではありません。保身の側に大きく天秤が傾いている時に、これを否定するのではなく、バランスの問題であり、組織のために何か良い選択はないか問いかけ続ける組織文化が大切と考えます。組織のエネルギー効率の高まりは、結局ひとり一人の「選択」にかかっているのです。

病院は大きな組織で、地域の医療を担う責任があり、そのためには組織を継続し続けることが、ある意味わたしたちにとっての責務でもあります。継続するには常に日々改善・変化が必要で、これには大変な力を要します。わたしたちの病院では、医療は現場にあるとの基本的考えに基づいて、患者を含め現場の職員が自発的に問題点を見出し、しかも楽しんで改善するQC(quality control)活動を取り入れています。

QC活動といえば、トヨタで展開され、大きな成果をもたらしたことで大変有名です。このことが大きなきっかけとなり、QCサークル活動は今の時代ほとんどの企業に取り入れられています。第一線の職場で働く人々が、継続的に製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う小グループが基本として運営を自主的に行い、QCの考え方・手法などを活用して創造性を発揮して自己啓発・相互啓発をはかることにより活動を進めます。こうすることによりQCサークルメンバーの能力向上・自己実現、明るく活力に満ちた生きがいのある職場づくりに役立ち、お客様満足の向上へとつながって社会へ貢献することになると言われています。
このような活動は日本人に良く合っており、わたしたちの国の企業で活発となりました。アメリカなどの海外では、グループで一緒に改善するという発想はなく、根付きませんでしたが、もともと日本人は集団で仕事をすることが好きな国民であり、QCサークル活動が日本で盛んになった所以です。

QC活動は医療分野でも取り入れられ、多くの病院で実践されるようになっています。活動を通して、医療の質的向上と改善を進め、安全で安心の医療の提供を目指しています。わたしたちの病院でもQC活動を取り入れていますが、先に述べましたが、あくまでも特徴は、医療は現場にあるとの考えで、現場の職員の自発性、選択を重要視しています。活動の実践報告会を毎年行っており、それに向けてのキックオフを先日行いました。そこで多くのチームが参加し、楽しんで取り組もうとしている事柄の報告がなされました。半年後の実践報告会を楽しみにしています。一人一人の「選択」により、エネルギー効率の良い病院になることを願っています。

2017年 8月 16日 姫路赤十字病院 院長 佐藤 四三