院長徒然日記

院長徒然日記

No.122 不具合から学ぶ

実験をしていると、時に思いがけない結果が出ることは良くあることですが、この結果を単純に手違いがあったとして片付けてしまい、深く考えない人がほとんどかと思います。しかしながらそこで一歩踏みとどまり、なぜ予定外の結果が出たのか追求することで大発見が生まれていることも事実です。
例えばイギリス人フレミングがペニシリンを発見したエピソードは大変有名です。細菌培養実験を行っている時に、培養皿に雑菌が入ってしまう失敗をして、普通ならゴミ箱行きのところをよく観察したことによりペニシリン発見に繋がりました。

日常生活で経験的に行われていることに、何の疑問を抱くことなく行動していることは良くあります。病院での業務過程でも同じことが言えます。昔からの慣習で何の疑問もなく日々同じ業務を繰り返していることは日常よく見かけます。
現場の職員、特にリーダー的役割を担う人を観察していますと、与えられた業務を黙々とこなすタイプと、業務はこなしつつも、不具合があるのではと肌で感じ、その中に改善点があるのではと疑問を持ち、問題が解決されれば現場の質が上がるのではと考えるタイプがあることに気づきます。
組織は常に変化し、業務の質、効率を上げることが求められており、後者のタイプが増えることが望ましいといえます。そういう人たちの多くは、問題提起することができます。「問題提起」は難しいと考えがちですが、要はなんのために必要か、求められているものは何かと気づくことから始まります。出来ない理由を取り上げるのではなく、問題解決、目標達成のためにどうすべきか提案できることと考えます。

ただ問題解決にはもう一つ大きなハードルが存在します。
ものづくりと異なり、医療は主に人と人の関わりでなりたっています。課題に気付き、解決策を講じ、これを職員、患者、地域とコミュニケーションを深め、共有することができなければ成果を出すことはできません。「伝える力」「課題を見つける力」を身につけることにより、組織の未来に展望がひらけます。

この様な事を考えている時、失敗を成功に結びつける高い意識を持ったプロゴルファー・松山英樹選手のコメントがあり、感動しました。
ゴルフの全米プロに挑戦した彼は、最終日首位に一打差でスタートし、途中首位に立ちながら、その後崩れ、最終的に5位の結果で終わりました。試合終了後、涙を溢れさせながらインタビューに答えていました。「ここまできた人はたくさんいる。これから勝てる人と勝てない人の差がでてくる。勝てる人になりたい。何をすれば勝てるのかわからない。」と。
「何をすれば勝てるかわかった。」とは言わなかった。この意味するところは深く、これに相応する解決策を見出せる様に成長したいということだと思うのです。

2017年 12月 11日 姫路赤十字病院 院長  佐藤 四三